[成果情報名]

観光農園設置による経済効果の向上策

[要約]観光農園来園者の多くは、観光農園への入場以外に、農園所在地町内の観光施設や直売所等に立ち寄っている。観光農園内での飲食物や土産品の充実とともに町内観光施設等と連携した運営が、観光農園の収益性と町内への経済効果を向上させる方策である。
[キーワード]観光農園、来園者、消費行動、経済効果
[担当]和歌山県農林水産総合技術センター・農業試験場・栽培部
[連絡先]0736-64-2300
[区分]近畿中国四国農業・農業経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 観光農園を訪れた旅行者は観光農園の周辺地域において、また、帰宅までの間において、旅行目的である観光農園以外の様々な施設、直売所、小売店、レストランなどに立ち寄り支出を行う。こうした観光農園の経済効果は当該農園にのみとどまるのではなく、広く周辺地域にまで波及していると考えられる。ここでは、棚田を活用し開園している「みさとチューリップ園」の来園者に対するアンケートの結果をもとに、同園が開設されている美里町内での来園者の立ち寄り先、支出金額、土産品の選定基準等を明らかにし、観光農園による経済効果の向上策について検討した。なお、調査対象としたチューリップ園は、和歌山市から自動車で約1時間程度の距離にある中山間地域に位置しており、開園期間中(2000年4月1日~18日)の来園者数は18,584人であった。

[成果の内容・特徴]

  1. 来園者の立ち寄り先の範囲を美里町内に限定すると、チューリップ園来園者の旅行への1人当たり平均支出金額は 1,829円であり、チューリップ園内で町内総支出額の73%が支払われている(表1)。
  2. 82%の来園者が園内で何らかの飲食を行っており、60%の来園者が園内で土産品を購入している。園内での支出金額の内訳をみると、飲食費と土産品の購入額をあわせると町内総支出金額の43%を占めており、この金額は入園料の1.7倍に相当する。
  3. このように、観光農園内での飲食のサービスや土産品販売は、観光農園の収益を向上させる有効な手段である。来園者が土産品(食品)を購入する際に重視しているのは「新鮮さ」、「名物、特産品」、「価格」、「地元製造」、「味や風味」、「手づくり」などである(図1)。
  4. 来園者の40%は目的としたチューリップを観賞する他に、町内の温泉宿泊施設や飲食店、農産物直売所などに立ち寄っている。そして、チューリップ園外で支出した金額は、総支出金額の27%を占めている(表1)。
  5. 観光農園内における来園者の支出は単に入園料だけではなく、飲食や土産品購入に対しても行われていることから、観光農園の収益向上には、消費者の希望の多かった地域内で開発・製造した特産品や新鮮な農産物の園内販売をより充実することが大切である。また、来園者は観光農園外でも支出しており、これらの町内施設・業者と連携しながら観光農園を運営することが、経済効果を高める方策である。そのためには、消費者へのこれら施設・業者の情報提供(町内の立ち寄り先マップや案内資料の配布、誘導案内板の設置)、イベントの同時開催などが有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は、観光農園や特産品開発をすすめ、活性化を目指す行政機関やその関係組織で活用できる。

[具体的データ]

表1

図1


[その他]
研究課題名交通アクセス向上に伴う中山間観光農業の振興策
予算区分県単
研究期間1999~2001年
研究担当者辻和良、光定伸晃(現和歌山県農林水産部農林水産総務課)
発表論文等辻・光定(2001)農業経営通信 210:10-13

目次へ戻る