[成果情報名]

高軒高の平張型傾斜ハウスにおける快適性および管理作業の軽労化

[要約]高軒高構造の平張型傾斜ハウスは、斜面風の取り込みが優れているため、作業者の身体負担が軽減できる。また、等高線方向への作畝および遠隔操作型巻き上げ装置並びにレール走行式薬剤散布機により、傾斜地作業が軽労化できる。
[キーワード]高軒高、平張型傾斜ハウス、斜面風、快適化、傾斜地作業、軽労化
[担当]近中四農研・総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]0877-63-8116
[区分]近畿中国四国農業・作業技術、共通基盤・総合研究
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 四国山間傾斜地域における夏秋期の野菜・花き生産の振興には、換気性が優れたハウスおよび傾斜地作業の軽労化装置の開発が重要である。そこで高軒高構造の平張型傾斜ハウスの快適性を利用した栽培および作物管理作業の軽労化技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 平張型傾斜ハウスは、約3mの軒高で全側面に各幅1mで2段の巻き上げ換気窓を設けている。これにより開口部面積がハウス床面積比で約40%確保でき、平坦地に設置したパイプハウス(同比約10%)に比べ、効率的に斜面風を取り込むことができる(図1)。
  2. 安静時のエネルギー代謝はハウス内気温が高くなるにしたがい増加するが、風により増加割合は大きく低減することから(図2)、斜面風の取り込みは身体負担の軽減に有効である。強光時には遮光カーテンを併用することで、さらに快適性が増大できる。
  3. 傾斜圃場における等高線畝の作畝は、耕うん爪を片排土仕様にした小型管理機(出力1.7kW(2.3PS)、質量51kg)を使用して、幅約30cm、深さ約5cmの通路を作る。揚土作業を兼ねることで傾斜下方への土の落下が低減できる(図3-1)。
  4. 換気窓の開閉作業を軽労化するために、傾斜上方側面の換気は、遠隔操作が可能なモータ駆動の巻き上げ装置を設置して、傾斜下方で一括して操作する(図3-2)。傾斜方向への上り下り作業が省略でき、全て手動で行う場合の約20%の時間で作業可能である。
  5. 等高線畝栽培ではハウスの梁に設置したレールを懸架走行するレール式自動薬剤散布機(図3-3)を使用する。速度切替機能による走行時間の短縮で、手散布の約6割の作業時間と被ばくのない作業が可能である。傾斜方向畝の手散布作業は身体負担が大きい(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ハウスの規模が2a以上で軒高が2.5mに満たない場合は、自然換気効率が劣る場合がある。
  2. 自動薬剤散布機のレールは、作業者の身長よりも10~20cm高い位置に設置する。

[具体的データ]

図1

図2

図3

表1


[その他]
研究課題名施設内作業の快適・省力機械化作業システムの体系化
予算区分傾斜地野菜・花き、流動研究
研究期間1999~2001年度
研究担当者長崎裕司、川嶋浩樹、野中瑞生、的場和弘、鶴崎 孝(愛媛大学農学部)
発表論文等1)長崎ら(2000):第60回農機学会講要:197-198
2)レール式自動薬剤散布装置(2000):特許3141016号
3)平成14年度日本農作業学会春季大会で発表予定

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