[成果情報名]

小区画水田対応の再生紙マルチ直播シート人力敷設機

[要約]小区画水田において、水稲の再生紙マルチ直播シートを人力で敷設するソリ型簡易敷設機である。本機は一般的な材料で構成され、土壌表面硬度計の圃場平均値が30~35mm程度の適期に敷設することで作業負担が軽減でき、作業能率は約7~9a/hである。
[キーワード]水稲、再生紙マルチ直播シート、土壌表面硬度、人力敷設機
[担当]近中四農研・作物開発部・機械作業研究室
[連絡先]084-923-4100
[区分]近畿中国四国農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 再生紙マルチを利用した水稲直播栽培は、現在普及している再生紙マルチ水稲移植栽培の利点を生かしながら、育苗、田植え作業が省略でき、省力化が期待されるが、再生紙マルチ直播シート(乾籾4粒を入れた不織布の袋を点播状に孔を開けた再生紙マルチに貼付、長さ50m、幅1.6m、5条用、質量約11kg、以下直播シート)の適切な敷設方法は確立されていない。そこで、本栽培技術を中山間地域に多い小区画水田に導入するため、直播シートの敷設条件を明らかにするとともに、低コストで製作可能な簡易敷設機を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 本敷設機は、人力でロープを介してけん引しながら直播シートを代かき後自然落水した水田に敷設するソリ型の簡易な作業機である(図1)。
  2. 本敷設機は、アルミ製L型アングル、平板、パイプ、丸棒および塩ビパイプ、ゴムスポンジ、ロープ、バネ、ブラシ等の一般的な部品で構成されており(図2表1)、材料費は約2万円である。また、直播シートと土壌の密着性を高めるため、播種部を強めに鎮圧するゴムスポンジ付鎮圧ローラを採用している。
  3. 敷設作業速度は、土壌状態により異なり0.2~0.4m/sで、作業能率は1名の直播シート交換用補助作業者付きの2名作業で約7~9a/hである(表2)。また、敷設時のけん引抵抗は、約70~140 N で敷設作業開始直後が最も大きく、以後減少する。
  4. 直播シート敷設時の水田の最適土壌表面硬度は、直播シートと土壌の密着性を考慮すると、土壌表面硬度計の圃場平均値で30~35mm程度(1mゴルフボール貫入深で32~38mm程度)である。粘質土壌等は、代かき後土壌表面硬度が高くなるのに時間を要するため、少水量で代かきする必要がある。
  5. 土壌表面硬度が適範囲で敷設作業を行うことにより、作業者の心拍数増加率は低く抑えられ、水稲の苗立ち率の低下も小さい(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 再生紙マルチ水稲直播栽培技術マニュアルを作成し、普及を図る。
  2. 田面の高低差が大きいと、敷設時に凹部の泥水が既設の直播シート上に被り雑草抑制効果や水稲の苗立ちが劣ったり、凸部が過乾燥となり直播シートの田面密着性が劣ることがあるので、代かきを丁寧にし田面の均平に努める必要がある。
  3. 畦畔が真っ直ぐでない水田に直播シートを敷設する場合は、直進性を確保するために目印としてロープ等を設置することが望ましい。
  4. 不整形区画水田の周辺部は、直播シートを切り取りながら人力で敷設する必要がある。

[具体的データ]                      

図1

表1

図2

表2


[その他]
研究課題名再生紙マルチ直播作業機の開発
予算区分中山間水田複合生産、交付金
研究期間1997~2001年度
研究担当者亀井雅浩、前岡邦彦、石田茂樹、土屋史紀、吉田智一
発表論文等1)亀井・土屋(2001)機械化農業 2001年3月号:8-11
2)亀井・土屋(2001)米麦改良 2001年8月号:22-31
3)亀井ら(2000)農機学会関西支部報 第87号:81-84
4)亀井(1999)近畿中国地域における新技術 第33号:43-46

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