[成果情報名]

田植機を利用した水稲湛水直播システム

[要約]水稲稚苗用移植機(田植機)の植え付け機構を利用できる水稲湛水直播機を開発,した。開発機は、種子マット、種子マット調製機及び専用かき取り爪からシステム,構成される。
[キーワード]田植機を利用した水稲直播技術、移植・直播両用機
[担当]山口県農業試験場栽培技術部・作物栽培グループ
[連絡先]083-927-7024
[区分]近畿中国四国農業 作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 水稲栽培の省力低コスト化の推進を目的として、稚苗用移植機として広範に普及している田植機を水稲湛水直播機として汎用利用できるシステムを開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 当直播システムは、種子を種子マット表層に圧入固定し、この種子マットを田植機の植え付け機構によってブロック状にかき取り、田面に押し込み点播するものである。
  2. 種子マットはフェノール樹脂発泡体製で、サイズは58cm×28cm×1.5cmで田植機の苗載台に搭載できるサイズであり、塑性変形が容易で吸水率が高いなど直播用マットとしての特性に優れている。調製後のマット重量は252g/枚程度である(種籾150g、水50ml、種子固定用糊2g、図1)。
  3. 種子マット調製機はベルトコンベア上に設置されたマット供給装置、ミスト装置、種子固定用糊散布装置、播種装置、圧入用ローラ及びマット集積・搬出装置からなる。マット1枚当たりの播種量は0~360gまで調整可能で、1時間当たり最大600枚の種子マットを調製できる(150g/枚、2人作業、図2)。
  4. 直播専用かき取り爪
    直播専用掻き取り爪は長さ103mm、幅14mm、深さ20mmのコの字型で、既存田植機の植え付け爪取り付け部にねじ止めして使用する。
  5. 作業精度及び生育・収量
    播種時の種子ブロックの田面露出割合は2.4~14.6%、欠株率は5~20%程度(ほ場条件:稚苗移植と同等の代かきを実施)であった。
     10a当たり収量は飼料イネで2,130kg(生草収量)、食用水稲では平成12年度県平均521kgを上回る526kgが確保された事例もあり、問題はなかった。(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 当直播機は、食用水稲の他に飼料稲等の飼料作物の湛水土中点播栽培にも活用できる。
  2. 水稲直播作業では、まず、種子マットを10a当たり20枚、種子を3㎏用意し、種子マット調製機で種子をマットに圧入固定し、田植機の植え付け爪を専用のかき取り爪に交換した田植機で‘田植え感覚’で直播する。
  3. 水稲の場合、種子は乾籾・催芽籾・過酸化カルシウムコーティング籾(1倍重)が利用できるが、出芽が安定しているのは、催芽籾及びコーティング゙籾である。

[具体的データ]

図1

図2

図3

表1


[その他]
研究課題名飼料作物用田植機利用型直播機
予算区分地域特産農作物用機械開発促進事業
研究期間2000年度~2001年度
研究担当者桑原恵利、末兼正倫、中司祐典、高橋一興
発表論文等日本作物学会中国支部研究集録第42号
山口県農業試験場研究報告第53号(掲載予定)

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