[成果情報名]

中山間地域向き小麦品種「キヌヒメ」の奨励品種採用

[要約]「キヌヒメ」は良質で、茎立ちが遅く、耐寒性が強い。出穂期、成熟期は「きぬいろは」より遅いが、外観品質は優れ、収量が安定しているので、標高300m以上の中山間地域向き奨励品種として採用した。
[キーワード]小麦、中山間地域、キヌヒメ、良質、強稈、奨励品種
[担当]奈良県農業技術センター・研究開発部・生産技術担当・作物栽培チーム
[連絡先]0744-22-6201
[区分]近畿中国四国農業・作物生産
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 小麦作については、食料自給率の向上に向け、水田での本作化等本格的な生産振興が図られている。本県でも平坦地域を中心に作付面積の拡大が進んでいるが、県内実需者からは県内産小麦の増産が要望されている。今後更なる増産のためには、圃場基盤整備が比較的進んだ中山間地域での定着が必要である。しかし、現奨励品種「きぬいろは」はごく早熟、良質ではあるが、平坦地域向きであり、中山間地域では品質、収量が不安定である。そこで、「キヌヒメ」を中山間地域向き奨励品種として採用し、普及することにより、中山間地域での良質麦生産を図る。

[成果の内容・特徴]

    高原農業振興センター(宇陀郡榛原町三宮寺)での 「きぬいろは」と比較して、
  1. 播性は「Ⅳ」で、茎立ちは遅いため凍霜害に遭いにくく、耐寒性も強い(表1表2)。
  2. 叢性はやや匍匐で、分げつは旺盛であるが穂数は少なく、穂長は同程度(表1表2)。
  3. 稈長は長いが、強稈で、耐倒伏性は優れる(表1)。
  4. 収量性は同程度であるが、多肥による増収効果が高い(表1)。
  5. 出穂期で5日、成熟期で4日遅い(表1)。
  6. 穂発芽性は「難」である(育成地資料より)。
  7. 外観品質は優る。容積重は770gでやや重く、千粒重は39.1gで重い(表1)。
  8. 原麦の蛋白含量はやや低いか同程度であるが、灰分は低い。60%粉色の明るさはやや明るい(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 中山間地域(標高300m以上)の排水良好な地域に適応する。
  2. 播種作業が遅れると成熟期が遅れ、収量・品質が低下するため、適期(10月下旬) に播種する。
  3. 強稈であり耐倒伏性は強いが、極端な多肥栽培は避ける。
  4. 穂発芽性は「難」であるが、梅雨期であるため、特に適期収穫に努める。
  5. 分げつの発生は旺盛であるが、穂数等生育の確保のため、生育期間中も徹底した排水対策を行う。

[具体的データ]

表1

表2

表3


[その他]
研究課題名麦類奨励品種決定調査
予算区分県単
研究期間1995~2001年度
研究担当者杉山高世、西尾和明、山本卓司、中村美穂子

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