[成果情報名]

水稲「こいもみじ」の湛水散播直播栽培における播種早限

[要約]水稲「こいもみじ」は、従来より低温条件である日平均気温が10℃以上の播種時期で一定の苗立が得られ、移植栽培と同等の品質・収量が確保できるため,広島県北部・高冷地域においても湛水散播直播栽培が可能である。
[キーワード]こいもみじ、湛水散播直播、低温条件、日平均気温、苗立
[担当]広島農技セ・作物研究部
[連絡先]0824-29-0521
[区分]近畿中国四国農業・作物生産
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 湛水直播栽培はこれまで播種時期の日平均気温が14℃以上の条件があり、県中南部限定の技術であった。今後、県北部・高冷地域において直播栽培を導入するためには、より低温条件下で出芽・苗立が得られることが必要である。そこで、「こいもみじ」を用いて、低温条件下の播種時期における長期落水管理法による湛水直播栽培について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 播種後15日間の平均気温が11℃を越えれば、60%以上の苗立率が得られる(図1)。  このことから、播種早限のめやすは,日平均気温の平年値が10℃以上になる時期である。
  2. 播種~出芽始の日数は、播種後15日間の平均気温が11℃のとき20日である(図2)。
  3. カルパー粉衣効果は、播種後15日間の平均気温が11℃を越えると認められる。また、1~2倍の粉衣量の差による苗立率の違いは明確ではない(表1)。
  4. 排水不良田(減水深5mm/日以下)では、播種後15日間の平均気温が13.3℃で、カルパー粉衣量2倍の条件でも苗立率が47%と低く、播種量を増やす必要がある(表1)。
  5. 苗立数が1平方メートル当たり60~70本のとき、収量550~600kg/10a、検査等級1等と移植栽培並の収量・品質の確保が可能である。また、倒伏が見られないため安定生産が可能である(表2)。
     以上のことから、「こいもみじ」は、日平均気温が10℃以上の播種時期において、播種量3kg/10a、カルパー粉衣量1~2倍で移植栽培と同等の収量・品質が得られ、県北部・高冷地域で湛水散播直播栽培が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 落水期間中に漏水が心配されるほどの亀裂が生じる場合は、走り水程度に潅水する。
  2. 播種深度が深くなりやすい圃場ではカルパー粉衣量を2倍にするなど、圃場条件によって、カルパー粉衣量は1~2倍の範囲で決定する。
  3. 排水不良田など苗立率が低くなると予想される場合は、カルパー粉衣量は2倍、播種量は3.5~4kg/10aで取り組み始め、苗立の傾向をつかみながら播種量を調整して1平方メートル当たり60本程度の苗立数を確保する。

[具体的データ]

図1

図2

表1

表2


[その他]
研究課題名中山間地域における水稲湛水直播定着化のための安定生産技術の確立
予算区分単県
研究期間1999~2001年度
研究担当者下澤秀樹、古土井悠、辺見由紀子
発表論文等なし

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