[成果情報名]

出穂後窒素追肥によるパン用小麦の製パン適性の向上

[要約]パン用小麦は出穂後10日の窒素追肥により高蛋白質化し、小麦粉の生地物性が強くなり、パンの比容積と官能評価が向上する。
[キーワード]パン用小麦、窒素追肥、蛋白質、比容積、官能評価
[担当]広島農技セ・作物研究部
[連絡先]0824-29-0521
[区分]近畿中国四国農業・作物生産
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、広島県を含む西南暖地において地域特産作物としてパン用小麦の需要が増加している。しかし、当地域で生産される小麦の多くは蛋白質含量が低く、製パン適性が不十分である。これまで出穂後10日の窒素追肥により高蛋白質化することは明らかになっているものの製パン適性への影響は明らかになっていない。そこで高蛋白質化が製パンに関連する特性およびパン官能評価に及ぼす効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 子実蛋白質含量は、出穂後10日の窒素追肥(7kg/10a)により増加し、グルテンの量と質の総合的な指標であるSDS-セディメンテーション値が向上する(図1)。
  2. 小麦粉生地の特性を表すファリノグラムのバロリメーター・バリューは、高蛋白質化により増加し、生地物性が強くなる(図2)。
  3. パンの比容積(パン体積÷パン重)は、高蛋白質化により増加する(図3)。
  4. パンの官能評価は、高蛋白質化により向上する(図4)。
  5. 現地試験においても同様の結果を得ている。
  6. 以上の結果、出穂後窒素追肥によるパン用小麦の高蛋白質化は、小麦粉生地の物性を改善し、パンの比容積と官能評価の向上に有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は蛋白質含量が低くなりがちな地域に適用できる。
  2. 出穂後窒素追肥によるパン用小麦の製パン適性の向上には品種間差が認められることから、本技術の使用に当たっては品種毎に事前に確認しておく必要がある。
  3. 出穂後追肥における窒素施用量は、子実蛋白質含量が製パンに必要とされる12%以上になるように、地域毎に平年の蛋白質含量や収量レベル等に留意して決定する。
  4. 出穂後窒素追肥を行うと、蛋白質含量が増加し容積重も重くなるが、子実は角張るため未熟粒と誤判定され検査等級が低下することがある。加工利用上は支障がないので判定の適正化を食糧事務所へ要請する必要がある。

[具体的データ]

図1

図2

図3

図4


[その他]
研究課題名中山間地域活性化のための地域特産転作作物の品種選定と栽培法の確立
予算区分県単
研究期間1999~2001年度
研究担当者浦野光一郎、土屋隆生
発表論文等浦野・長嶺(2001)日本作物学会中国支部研究集録 第42号:30-31

目次へ戻る