[成果情報名]

ヨシへのイネグルタミン合成酵素遺伝子(GS2)の導入と形質転換体の作出

[要約]水生植物ヨシの窒素吸収能の遺伝的改良のため、イネから単離したグルタミン合成酵素遺伝子をヨシに導入した。その結果、128個体の形質転換体を作出することに成功した。
[キーワード]ヨシ、遺伝子導入、グルタミン合成酵素遺伝子、養分吸収能
[担当]滋賀農総セ農試・先端技術開発部・生物工学担当
[連絡先]0748-46-3081
[区分]近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 近年、ヨシ(Phragmites australis)等の水生植物を利用した水質浄化システムが考えられている。そのシステムを効率的に利用するためには、さらに養分吸収能を高めた植物の育成が望まれる。
 ヨシやイネ等、嫌気的土壌環境で生育する植物は硝酸イオンだけでなくアンモニウムイオン(NH4+)を直接根から吸収し生育に必要な窒素源として利用している。グルタミン合成酵素(GS2)は、根で吸収されたNH4+の有機化に関わる最初の酵素である。そこで、ヨシの根でのNH4+の有機化の促進を目的に、ヨシにイネGS2遺伝子を導入し形質転換体を作出する。

[成果の内容・特徴]

  1. イネGS2cDNAをイネで高発現が報告されているpIG221由来プロモーター(植物工学研究所早川氏より分譲)に連結後、pCAMBIA1300ベクターに挿入しpCAMBIA1300-RGS2を作製した(図1)。
  2. 琵琶湖岸で採種したヨシ完熟種子から誘導したカルス1796個にアグロバクテリウム菌を感染後、ハイグロマイシンで選抜した結果、2.4%にあたる44個のカルスから129個体の植物体を得た。
  3. 得られた植物体のPCR分析、サザン分析、RT-PCR分析の結果、128個体でイネGS2遺伝子が検出されRNAの発現が正常に行われていると考えられた(図2)。また、GS2に特異的に反応する抗体を用いたウエスタンブロッティング分析の結果、非形質転換ヨシと比較して強いシグナルが検出される個体が得られた(図3)。

[成果の活用面・留意点]

     今後、得られた個体について窒素吸収能の分析を行う必要がある。

[具体的データ]

図1

図2

図3


[その他]
研究課題名有用遺伝子導入によるヨシへの高窒素吸収能付与技術の開発
予算区分地域先端(国補)
研究期間1998~2001年度
研究担当者森真理、宮村弘明、本田綾子、大谷博実、森正之、竹葉剛
発表論文等森ら(2001)育種学研究3(別2):106

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