[成果情報名]

キチナーゼ遺伝子導入によるナスのうどんこ病抵抗性の付与

[要約]イネ由来キチナーゼ遺伝子(EN4-RCC2)をアグロバクテリウム法でナスに導入し、キチナーゼ活性の高い形質転換体を選抜する。そして、うどんこ病抵抗性検定を行うと、うどんこ病抵抗性を持つナス形質転換体が選抜できる。
[キーワード]ナス、キチナーゼ、うどんこ病、遺伝子導入
[担当]京都農資セ・応用研究部
[連絡先]0774-93-3527
[区分]近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 ナス栽培では、収穫期間が長期にわたるため、うどんこ病等の発生が多く頻繁に農薬散布を行わなければならない。減農薬栽培をすすめ、生産安定を図るために、病害抵抗性品種の育成が求められている。本研究では、遺伝子組換え技術を利用して、イネ由来キチナーゼ遺伝子をナスに導入し、うどんこ病等に対する病害抵抗性付与の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ナス胚軸培養系を用いてアグロバクテリウム法でイネ由来キチナーゼ遺伝子をナスに導入する。遺伝子導入には、CaMV35Sプロモーターにエンハンサーを連結して高発現型に改良したEN4-RCC2(生物研・西澤ら作製)を組み込んだpBI121ベクターを用いる。得られた形質転換体のキチナーゼ活性をグリコールキチンの分解量で測定し、キチナーゼ活性の高い個体を一次選抜する。これらについてウェスタン分析を行い、導入遺伝子に由来するキチナーゼの産生を確認する(図1)。
  2. キチナーゼ活性の高い形質転換体について、発病株を配置した自然感染によりうどんこ病抵抗性検定を行い、抵抗性系統を選抜する。本研究では、形質転換体35系統のうちB-35およびB-38の2系統で発病遅延および病斑増加の抑制が認められる(図2)。
  3. B-35およびB-38の2系統は、さらに次代でも同様に発病遅延および病斑増加の抑制が認められる(図3)。非閉鎖系温室でのうどんこ病抵抗性検定の結果、発病遅延は認められるが4週間後には激発状態となり抵抗性の程度はあまり強くない(図4)。なお、非形質転換体と比べて生育特性に差異は認められない。

[成果の活用面・留意点]

  1. 35Sプロモーターを連結したRCC2遺伝子を導入した形質転換体では、うどんこ病抵抗性の増強は認められなかったことから、プロモーターの選択が重要である。
  2. これまでに見られたうどんこ病に対する抵抗性は、抵抗性品種「六葉茄」と比べるとやや劣るので、さらに強い抵抗性を得るためには導入遺伝子の改良が必要である。

[具体的データ]

図1

図2

図3

図4


[その他]
研究課題名遺伝子導入によるナス及び黒大豆の病害抵抗性育種技術の開発
予算区分地域先端
研究期間1996~2001年度
研究担当者津呂正人、伊藤寿美子、稲葉幸司、小坂能尚
発表論文等津呂ら(2001) 育種学研究3(別2):107.

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