[成果情報名]

果実特性選抜とDNA多型検出による青枯病抵抗性水ナスの育成法

[要約]水ナスとナス青枯病抵抗性の「DMP」との戻し交雑体系統において、果実特性による選抜を行った後、それらの個体のDNA多型検出を行い、DMPの遺伝子の割合の多い個体をさらに選抜すると、ナス青枯病抵抗性の水ナスが育成できる。
[キーワード]DNA多型検出、水ナス、Dingaras Multiple Purple、ナス青枯病抵抗性
[担当]大阪農技セ・食品・資源部・生物資源室
[連絡先]0729-58-6551
[区分]近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 水ナスにおける従来の汚染圃場を用いた青枯病抵抗性育種は、長い年月や広い汚染圃場、多大な労力を必要とし、簡単には取り組めないという問題がある。そこで、青枯病抵抗性検定の代わりにDNA多型検出で選抜を行う、簡便で、しかも早期に新品種作出が可能となる手法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. DMP(Dingaras Multiple Purple)と水ナスとのF2では、青枯病抵抗性の強さに対して個体数が正規分布し、BC1F1ではF1と比較し、青枯病抵抗性の強さに対して個体数が広く分布していたことから、DMPの青枯病抵抗性はポリジーン支配である(図1)。
  2. 水ナス、DMPおよび交雑種において、シークエンスゲルを用いたDIG-RAPD法を適用すると効率的にDNA多型が検出できる(データ省略)。
  3. 水ナスとDMPのF1に水ナスを戻し交雑したBC1F1系統において、DNA多型検出で診断した青枯病抵抗性と自殖後代であるBC1F2での青枯病抵抗性が一致しており、DNA多型検出で青枯病抵抗性を予測できる(図2)。
  4. 本育成法にて選抜されたBC1F1個体を自殖させたBC1F2系統において、DNA多型検出で青枯病抵抗性の強い系統群と弱い系統群に選抜し、それぞれの自殖後代の青枯病抵抗性を検定すると、群間に有意差が認められることから、DNA多型検出で青枯病抵抗性を予測できる(データ省略)。
  5. 本育成法で育成されたBC1F3自殖体(育成したBC1F3を自殖したBC1F4のこと)系統は、水ナスの果実特性(濃紫色、卵型、単性着果)と(図3)青枯病抵抗性を保有している(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 育種目標として青枯病抵抗性を優先させるか、果実形質を優先させるかにより、果実特性での選抜とDNA多型検出での選抜の強弱を調整する。
  2. 本育成法でのDNA多型検出による青枯病抵抗性選抜は、DMPに近い植物体を選抜しているだけであり、その世代で1個体だけに絞らず、数個体を選抜し、次世代に展開することが望ましい。
  3. 本育成法は世代が進み遺伝的な固定化が進むと、DNA多型の検出数が少なくなり、青枯病抵抗性選抜の有効性は低下する。

[具体的データ]

図1

表1

図2

図3


[その他]
研究課題名培養変異の遺伝子診断による有用形質獲得体の早期選抜技術の開発
予算区分地域先端(国補)
研究期間1996~2001年度
研究担当者谷本秀夫、古川真、古川一(大阪府立大学大学院農学生命科学科)
発表論文等1)谷本ら(2001)園学雑.70別2:141
2)谷本ら(2001)園学雑.70別1:240
3)谷本ら(2000)大阪農技セ研報.36:38-42.

目次へ戻る