[成果情報名]

遺伝子導入による萎黄病抵抗性イチゴ育種素材の作出法

[要約]prxC2(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ遺伝子)あるいはRCC2(イネ由来キチナーゼ遺伝子)をアグロバクテリウム法でイチゴ「アスカルビー」へ導入した個体を、イチゴ萎黄病菌汚染土壌で検定することによって、病害抵抗性個体を選抜できる。
[キーワード]prxC2、RCC2、イチゴ、萎黄病、抵抗性個体
[担当]奈良県農技セ・研究開発部・資源開発チーム
[連絡先]0744-22-6201
[区分]近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ新品種「アスカルビー」は良味・高品質で市場から高い評価を受けているが、萎黄病等の病害によって、栽培農家の経営を圧迫している。耐病性イチゴ品種の開発が望まれており、萎黄病抵抗性品種を利用できれば、育苗から本圃での栽培までの汚染による打撃が回避できる。そこで、アグロバクテリウム法によって、イチゴ「アスカルビー」に有用遺伝子を導入して、萎黄病抵抗性個体を選抜・育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 導入には、CaMV35S-prxC2遺伝子(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ遺伝子)、EN4-RCC2遺伝子(イネ由来キチナーゼ遺伝子)を組み込んだバイナリーベクター(pBI121)を持つアグロバクテリウムを用いる。「アスカルビー」の無菌培養植物の葉と葉柄組織に感染させ、2日間共存培養後、選択培地で選抜する。選択はショ糖3%、BA2mg/L、2,4-D 0.2 mg/Lを加えたMS培地(寒天0.8%)、再分化は2,4-D 0.2 mg/Lを除いた培地、発根はホルモン無添加のMS培地で、それぞれカナマイシン50mg/L、カルベニシリン100 mg/Lを添加する。
  2. 表1に示すとおり、prxC2導入個体は154個体(7.0%)、RCC2導入個体は56個体(3.6%)得られており、遺伝子の導入はPCRによって確認している。
  3. 隔離温室で生育させた形質転換「アスカルビー」を、菌密度が50,000cfu/g乾土の萎黄病菌の汚染土壌に2001年9月2日に定植した後、11月29日に発病程度を調査すると、prxC2導入個体では5個体(783、785-1、785-2、819-1、819-2)、RCC2導入個体では1個体(341)が発病せず抵抗性を示す(表2表3)。
  4. prxC2あるいはRCC2の導入は萎黄病抵抗性個体の作出に有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 萎黄病抵抗性の検定を繰り返し行い、安定的に抵抗性を獲得した個体を選抜する必要がある。
  2. 遺伝子導入の手法を用いているので、安全性評価試験を行う必要がある。

[具体的データ]

表1

表2

表3

表4


[その他]
研究課題名有用遺伝子導入法による新規地域農作物作出技術の開発
予算区分地域先端(国補)
研究期間1999~2001年度
研究担当者浅尾浩史、都築正男、西崎仁博、西澤洋子(農業生物資源研究所)、 新名惇彦(奈良先端大)

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