[成果情報名]

鳥取県における「コシヒカリ」の打ち込み点播栽培技術

[要約]覆複合肥料を全量基肥施肥し、5月中旬に打込み式代かき同時土中点播機で乾籾換算4kg/10a程度を播種し、落水出芽法による栽培体系により、耐倒伏性、収量、品質において安定した結果が得られ、春期の労働時間が移植栽培の44%にまで省力化ができる。
[キーワード]イネ、コシヒカリ、湛水直播、落水出芽、点播、省力化、栽培体系
[担当]鳥取県農業試験場・作物・環境・経営技術研究室
[連絡先]0857-53-0721、電子メール:matsubarah@pref.tottori.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 本県の特色である中山間地の梨に代表される果樹地帯では、春期に交配、摘果、小袋掛けと続く一連の作業と水稲の育苗作業が競合する。そこで、水稲の育苗作業を省き、春期の果樹作業との過重労働の軽減のために、打込み式代かき同時土中点播による湛水直播栽培体系を確立し、水稲作の省力化に資する。

[成果の内容・特徴]

  1. 品種は「コシヒカリ」を用い、5月中旬に播種を行う。播種までの作業手順は、改良剤・基肥散布 → 耕耘 → 入水 → 荒代かき → 点播播種、となる。
  2. 播種前の代かきは前日に行うことを基本とし、適正な播種深度となるほ場の硬さとして、1mの高さから落としたゴルフボールの頂点と田面の高さが同一になるゴルフボール貫入深約4cmを基準とする。(図1)。
  3. 播種後10~15日間程度落水管理をすることによってカルパー粉衣籾の平均苗立率は64%となり6割以上を確保できる。また、50kg/a以上の精玄米重を確保した苗立数の5割近くは80~100本/m2に分布している。これらのことから、実用的な播種量は乾籾換算で約4kg/10aと推測できる(図2)。
  4. 施肥は、被覆複合肥料(速効性窒素成分を2割含み、残り8割にシグモイド型100日とリニア型140日のタイプの被覆尿素肥料を等量含む)を全量基肥施肥し、施用窒素量は7kg/10aとする。
  5. 播種後10~15日に入水し、除草剤散布を行うが、ノビエが優占のほ場ではシハロポップブチル含有の一発処理剤を使用する。
  6. 現地において、収量、品質において普及可能な結果(表1)が得られ、また、育苗作業時間が大幅に削減されることから、春期の労働時間は移植の44%に減少する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 播種方法は、K社製の打込み式代かき同時土中点播直播播種機を使用する。
  2. 5月中旬に用水の確保が可能な、平坦部及び中山間地に適応する
  3. 種子は、消毒・浸種・催芽後、カルパー粉粒剤16を乾籾重量の2倍重で粉衣する。
  4. 砂壌土や埴土では播種前日代かきでは播種時にほ場が硬過ぎたり、軟らかすぎたりする場合があるため、播種前の代かきと播種までの期間は適宜調節する

[具体的データ]




[その他]
研究課題名中山間地における省力・低コスト湛水直播栽培法の確立
予算区分国補(地域基幹農業技術体系化促進研究)
研究期間1999~2003年
研究担当者松原秀樹、塩美津代、熊谷 均、西尾博之、久重祐彦、坂東 悟

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