[成果情報名]

微量要素の葉面散布によるユリ「まだら症」(仮称)の防止技術

[要約] 「まだら症」の発生には亜鉛が最も強く関与しているが、鉄とマンガンの葉面散布によって障害が軽減される場合もあるため、散布液は3種類を混合したものが望ましい。濃度は鉄5ppm、マンガン25ppm、亜鉛25~50ppmとし、障害の発生初期から1週間おきに4~6回程度散布する。
[キーワード]オリエンタル系ユリ、生理障害、亜鉛、葉面散布
[担当]高知農技セ・生産環境部・土壌肥料科
[連絡先]電話0888-863-4915、電子メールshuuji_itokawa@ken3.pref.kochi.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 オリエンタル系ユリでの発生が多い「まだら症」(仮称)は、上位葉がまだら状に黄白化し、品質の低下が著しい生理障害の一つである。原因は、土壌pHの上昇による鉄、マンガン、亜鉛の不溶化に伴う微量要素の欠乏症であるため、応急的対策として葉面散布が有効と考えられる。そこで、「まだら症」対策に有効な微量要素の混合割合および散布条件を検討し、葉面散布による本障害の治癒技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 障害の発生程度は土壌中の可給態亜鉛含量の違いによって異なり、亜鉛含量が低い土 壌で発生した「まだら症」に対しては、亜鉛の葉面散布で効果が認められる。このことから、本障害には亜鉛が最も強く関与しているものと考えられる。しかし、鉄とマンガンの葉面散布によって障害が軽減される場合もあるため、散布液は3種類を混合したものが望ましい(表1)。
  2. 混合液は鉄5ppm、マンガン25ppm、亜鉛25~50ppmとし、障害の発生初期から症状の程度に応じて1週間おきに4~6回散布する。これにより、上位葉中の含有率は最大で鉄2倍、マンガン5倍、亜鉛5倍程度に高めることができ、薬害をほとんど発生させることなく障害を軽減できる(図1表2)。
  3. 混合液は硫酸第一鉄7水和物 25g、硫酸マンガン5水和物 110g、硫酸亜鉛7水和 物 110~220gを1Lの水に溶かして作成し、散布時には1,000倍にうすめて使用する。 なお、展着剤を所定濃度で加用する(本試験ではクミテンを5,000倍にして散布)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 日中の高温時(30℃以上)や散布液が乾きにくい条件での使用は避ける。
  2. 濃縮液を作成する際には皮膚に付着したり、粉塵を吸入しないよう適切な保護具を着 用する。試薬の容器は密栓して冷暗所に保管する。
  3. 濃縮液は直射日光を避け涼しい場所で保存する。沈殿を生じる場合があるが上澄み液 の使用で特に問題はない。ただし、長期間の保存は避け、できるだけ1作ごとに作成 する。
  4. 根本的な対策として、適正pH(オリエンタル系ユリでは5.8~6.2程度)の維持に努める。

[具体的データ]





[その他]
研究課題名オリエンタル系ユリの上位葉黄化症(微量要素欠乏症)の防止技術の確立
予算区分県単
研究期間2001~2002年度
研究担当者糸川修司、北村明久
発表論文等糸川・北村(2003)土肥学会関西支部講要:14.

目次へ戻る