[成果情報名]

屋根フィルム巻き上げ式開閉施設による不良環境下に対応した良質苗生産

[要約] 本施設は、夏の高温、秋の長雨による苗の生育不良を防ぐ対策として利用できる。レタスの8~9月播種では、温室育苗に比べ徒長が抑えられ、根張りの良い苗で、定植時の植え傷みが少ない。タマネギでは、葉鞘径・苗の重量が大きく、収穫球重も大きくなる。
[キーワード] 苗生産、全開閉型施設、レタス、タマネギ
[担当] 兵庫農総セ・淡路農技・農業部
[連絡先] 電話0799-42-4880、電子メールshouji_kobayashi@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 秋冬作野菜では、夏の高温、秋の長雨・日照不足等の気象変動により、苗の生育が不安定となり作柄に大きく影響を及ぼす。そこで、これらの被害を防ぐため屋根フィルム巻き上げ式の全開閉型施設を利用して、夏期の高温や降雨を回避することで、苗の徒長などの生育不良を防ぎ良質苗を生産する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 9月中の晴天日の外気温の最高値が28℃の時、ガラス温室では31℃と全体に高く推移するが、全開閉型施設(写真1)では外気温とほぼ同様に推移する。最低温度では、差がない(データ省略)。
  2. レタスの8月20・30日の高温期の播種では、草丈は伸長が抑制されるが、全開閉型ハウスで育苗した苗は、ガラス温室で育苗した苗と比べて、地上部重量・根部重量が大きくなり充実した苗になる。9月10・20日の播種では、温室区で草丈が伸び地上部重も大きくなるが、全開閉型ハウス区では地上部の伸長は抑えられ、根重が大きくよく締まった根張りの良い苗になり、定植時の植え傷みが少なくなる(図1)。
  3. タマネギのセル育苗では、固定張りハウスでの育苗に比較して露地や全開閉型ハウス育苗で葉鞘径が太く、苗の重量(地上部重+根重)・根数も大きくなる。さらに、地床育苗は、ベンチ育苗に比べ地上部重・葉鞘径が大きく、収穫球重も大きくなる(表1)。
  4. 通常のパイプハウス(間口6m×奥行23m、パイプ径32mm・肉厚1.6mm、パイプ間隔45cm)44万円程度を全開閉型に改造する場合、材料費(巻き取りパイプ、軸の固定具、ユニバーサルジョイント、フィルム等)・施工費で28万円を要する。さらに、換気扇を設置すると12万円が追加となる。2003年8月9日に台風10号が淡路島を通過した時、本施設のサイド及び屋根フィルムを閉め、巻き取り軸を固定し(写真2)、さらに、換気扇を回して内部を負圧にしフィルムのバタツキを抑えることにより、風速32.5mの強風に耐えることが確認された。

[成果の活用面・留意点]

  1. 幼苗期には、降雨時に培養土が飛ばされないように、屋根部分のフィルムを閉める。
  2. タマネギのセル育苗では、葉が倒れないように随時葉先を刈り、移植時に草丈15cm程度に仕上げる(2001年度 成果情報参照)。

[具体的データ]

 


 


[その他]
研究課題名 特産露地野菜の気象変動に対応する補完的簡易施設を利用した安定生産技術の確立と実証
予算区分 県単
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 小林尚司、大塩哲視、桐村義孝

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