[成果情報名]

「とよのか」「さちのか」における栽培株からの省力低コスト採苗体系

[要約] 栽培株から採苗しても慣行と同品質苗の育成が可能であり、収量も従来と同等確保することができる。また、親株床が不要となるため、コスト低下と労力削減が可能になる。
[キーワード] イチゴ、栽培株、採苗、低コスト
[担当] 山口農試・栽培技術部・園芸栽培グループ
[連絡先] 電話083-927-0211、電子メールnaitou.masahiro@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
これまでイチゴ栽培の作業負担軽減を目的として、本ぽ管理を対象とした高設栽培システムの開発普及に取り組んできているが、育苗については従来どおりであり、低コストで作業負担の少ない体系の確立が望まれている。このため、栽培株からの採苗による低コストで作業負担の少ない簡易採苗技術体系を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 採苗の手順は以下のとおりとする。
    1)採苗予定1ヶ月前から発生するランナーを残す。
    2)採苗開始時に、全ての果房を除去する。
    3)挿し苗の場合は、本葉2枚程度で発根始めの苗を切り離し、挿し苗する。
    4)鉢受けの場合は、2条のうち1条を掘り上げて鉢を置くスペースを確保し、鉢を設 置する。鉢受け2週間後を目安に切り離す。
    5)株当たり2~3本のランナーが確保でき、それから発生する子苗も利用できるため、1/4程度の栽培株から目標株数が確保できる。
  2. 栽培株から採苗することで、開花株率、開花日は慣行と同程度となる(表1,2)。
  3. 栽培株からの採苗は、普通促成栽培、暗黒低温処理育苗促成栽培ともに専用親株から の採苗と同等の収量が得られる。また、栽培株からの採苗は、2カ年繰り返しても収 量は低下しない(図1)。
  4. 栽培株からの採苗では、育苗中の不時出蕾や芯止まり株が発生し、特に「さちのか」 で多い傾向にある(表3)。
  5. 親株床が不要となることから、親株床に係る資材や親株管理に係る労力を大幅に削減 することが可能となる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 冠水や病害汚染の懸念がない優良な親株床面積が十分に確保できない生産者に対して、貢献度の高い技術となる。
  2. 3年以上繰り返すと収量性等が低下する危険性があるので計画的なウイルスフリー株への更新が必要である。
  3. 「さちのか」においては、芯止まり株の発生が若干みられるため、多めの苗を確保することが必要である。不時出蕾は、除去することによりその後の苗の生育や頂果房の開花へ影響はないので利用可能である。8月に入ってからの不時出蕾はみられ ない。

[具体的データ]

 


[その他]
研究課題名 イチゴ超省力採苗技術の確立
予算区分 県単
研究期間 1999~2003年度
研究担当者 内藤雅浩、刀祢茂弘、重藤祐司、茗荷谷紀文、沖本宏昭
発表論文等 内藤(2003)農業技術体系野菜編イチゴ:基418の52-57

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