[成果情報名]

「とよのか」「さちのか」における未発根苗の冷蔵が開花に及ぼす影響

[要約] イチゴの未発根苗を1℃で冷蔵すると、開花遅延を引き起こすことがあるが、その傾向は冷蔵期間が長いほど、採苗期間が遅いほど、また「とよのか」より「さちのか」、専用株より栽培株で強く表れる。専用親株から5月中旬に採苗し、3週間以内の冷蔵であれば開花は遅延しない。
[キーワード] イチゴ、苗、冷蔵、開花
[担当] 山口農試・栽培技術部・園芸栽培グループ
[連絡先] 電話083-927-0211、電子メールnaitou.masahiro@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
イチゴ栽培においては、5~6月に収穫と採苗が重なり、過重労働となっている場面が多く、この解決が求められている。そこで「宝交早生」で開発された未発根苗の一時的冷蔵技術を「とよのか」「さちのか」に応用し、挿し芽作業の効率化を図るため、未発根苗の一時的な冷蔵処理がその後の花芽分化に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 葉数2枚程度の未発根苗をポリ袋に入れ、口をかたく縛って乾燥を防止し、1℃設定の冷蔵庫に冷蔵すると、「とよのか」「さちのか」とも、4週間冷蔵後でも挿し芽の活着率は高い(表2)。
  2. 未発根苗の冷蔵は、冷蔵期間の他に品種、親株の来歴、採苗時期によって開花株率と開花日に影響を及ぼす。
  3. 専用親株から採苗した場合、「とよのか」「さちのか」とも、5月中旬採苗で3週間までの冷蔵であれば、冷蔵処理しない普通促成と同程度の時期に開花する。5月中旬採苗で4週間、6月中旬採苗で2週間までの冷蔵であれば、無冷蔵の普通促成に比べて開花が1週間程度遅れるものの100%の開花株率が確保できる。6月中旬採苗で3週間以上冷蔵した場合、1週間以上開花が遅れるとともに開花株率が低下する(表1,2図1)。
  4. 栽培株から採苗した場合には、「とよのか」「さちのか」とも100%の開花株率は確保できず、採苗時期が遅いほど、また冷蔵期間が長いほど低下する(表1,2図1)。
  5. この傾向は、「とよのか」より「さちのか」において強く現れる(表2図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 挿し芽作業は、晴天時よりも曇天や雨天時が適していることから、イチゴの大規模経営等において挿し芽作業を後日まとめて行う場合や、雇用の有効活用のため雨天時の作業を必要としている場合に参考となる技術となる。
  2. 冷蔵温度が高くなると入庫中の伸長による芽の曲がり等が発生し、挿し芽作業が困難となるので、±1℃以内の厳密な温度設定が可能な冷蔵庫を用いる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 イチゴ超省力採苗技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 内藤雅浩、刀祢茂弘、重藤祐司、茗荷谷紀文、沖本宏昭

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