[成果情報名]

冷房育苗の導入によるパンジーの安定生産技術

[要約] パンジーは冷房育苗を行うことにより、慣行育苗と比較して成苗率が著しく向上する。冷房育苗は、冷房温度を昼間28℃、夜間23℃とし、冷房期間を播種後3週間以上とすることにより、その効果が安定する。
[キーワード] パンジー、冷房育苗、成苗率
[担当] 和歌山農総セ・農試・栽培部
[連絡先] 電話0736-64-2300、電子メールshima_k0006@pref.wakayama.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 パンジーにおける10、11月を中心とした秋出荷では、育苗時期が7、8月の真夏の高温期にあたる。そのため、冷涼な気候を好むパンジーでは、この時期の高温により苗の枯死や生育不良が起こりやすく、安定生産の大きな障害となっている。そこで、育苗ハウス内をクーラーにより涼温に保つ冷房育苗の導入を検討し、花壇苗生産の安定化を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 昼間(午前8時~午後6時)の冷房温度を28℃以下に育苗する(図1)ことにより、催芽後の発芽停止や発芽後の生育不良が抑えられ、夜間のみの冷房を行った場合および無冷房の場合と比較して成苗率が著しく向上する(表1)。また、夜間(午後6時~午前8時)については23℃以下になるように冷房を行うことで成苗率が向上する(データ省略)。
  2. 播種後2週間(子葉展開時まで)の冷房により、成苗率は無冷房の場合よりも著しく向上するが、その後の高温による生育不良が発生しやすい。安定した生育を確保するためには、冷房期間を播種後3週間(本葉0.5枚展開時)以上とする(表2)。
  3. 冷房育苗の導入により、慣行育苗において55%であるとされる成苗率が90%に向上するため、種苗費の削減が図られ、経営面積30aの場合、冷房育苗に必要な経費を差し引いても約50万円の収益増加が見込まれる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 冷房育苗の導入により、気象条件に左右されない安定した育苗が可能となり計画的な苗生産が行える。
  2. 本成果は暖地における7月中旬~9月上旬播種の作型に適応できる。
  3. 電気代節約のため、遮光率を65%として寒冷紗による冷房育苗ハウスの遮光を行う。
  4. 冷房育苗による苗の品質低下は認められない。また、冷房育苗苗の定植後の生育は慣行育苗苗と同等であり、開花遅延も起こらない。
  5. 冷房育苗の有効性は、パンジー以外にもビオラ、クリサンセマム、ダスティーミラー、プリムラ等において確認しており、冷房育苗はこれらの品目にも適用できる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 温度制御による花壇苗の安定生産技術の開発
予算区分 委託(関西電力株式会社)
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 島 浩二

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