[成果情報名]

樋給水における鉢花シクラメンの「しおれ症状」軽減技術

[要約] 樋給水で栽培される鉢花シクラメンは、給水間隔の調節、粗孔隙量の大きい培養土素材の選択、混合時間の短縮による気相率の確保、施肥窒素濃度の適正な調整等により、根痛みを主要因とする出荷期以降の品質劣化のひとつである「しおれ症状」を軽減することができる。
[キーワード] 樋給水、鉢花シクラメン、根傷み、品質劣化、しおれ症状
[担当] 奈良農技セ・研究開発部・生産技術担当・花き栽培チーム
[連絡先] 電話 0744-22-6201、電子メール maeda@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 シクラメンは耐暑性が低く、鉢底から常時水分が供給される樋給水を行うと、夏季以降に根傷みを主要因とする生育障害が発生しやすい。また、この給水方法で栽培される鉢花シクラメンの中には、出荷期以降に品質が急速に劣化するものがあり、消費段階で「しおれ症状」等を呈する場合は特に問題となる。そこで、生産ロスの低減と生産物に対するエンドユーザーの信頼性を高めるため、出荷期以降の品質劣化を軽減するための栽培技術を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 樋給水では、常時樋に水を溜め、高水位を保つ給水を行えば生育障害株の発生率が増大するが、低水位の維持(最大水位4cmの樋中の水位を1~2cmに保つ)や、2日に1回間隔の間断給水等により、「しおれ症状」をはじめとする生育障害株の発生率を抑制することができる(図1)。
  2. 日向土、もみがらなどの粗孔隙量の大きい素材の培養土への混合および、混合・撹拌時間の短縮により、飽和容水時の培養土の気相率を20%程度確保すると根傷みが発生しにくくなり、健全に生育させることができる(表1)。
  3. 9月中旬以降の施肥中の窒素濃度を200ppm程度に保つ(鉢上部より施用の場合)ことにより、根傷みの発生が抑制され、「しおれ症状」をはじめとする生育障害が減少する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 試験では、処理区間の差を明確にするため、6月の鉢上げ直後より生育終期まで樋給水で栽培したため、生育障害株の発生率は通常の栽培に比較してやや大きい(図1)。
  2. 根傷みに起因する生育期間中の生育障害の発生と、出荷直前から観賞時にかけて見られ「しおれ症状」の発生には関連性が見られる(データ省略)。
  3. 施肥頻度は1週間~10日に1回とし、鉢上部より100~200mlを施用する場合、窒素濃度が400ppm以上にならないように注意する。また、リン酸濃度は同様に施肥を行った場合、800ppmまで高めても生育障害は発生しない。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 ポストハーベストを重視した鉢花・花壇苗の品質向上技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 前田茂一、角川由加、仲 照史
発表論文等 前田ら(2003) 奈良県農業技術センター情報 第116号:4

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