[成果情報名]

発育速度モデルを利用したニホンナシ「二十世紀」の開花予測

[要約] 発育速度モデルによる新しい開花予測法は、従来の鳥取県における開花予測法より高い精度で「二十世紀」の満開日を予測できる。
[キーワード] 発育速度モデル、ニホンナシ、開花予測
[担当] 鳥取園試・果樹研究室
[連絡先] 0858-37-4211、ikedat@pref.tottori.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 鳥取県における「二十世紀」の開花予測(満開日)は、3月における日々の最高気温から7℃を引いた値を積算して算出する方法(簗取ら,1960)によって行われ、4月1日に発表されていた。この方法は、2月以前の気象条件が評価されない、4月2日以後は修正が出来ない、といった欠点があり、春期の異常気象の際には精度が落ちる場合があった。
 近年、発育速度モデルによる「幸水」の開花予測法が発表された(杉浦ら,1997)。この方法は「二十世紀」への適用と共に、従来法の欠点もカバーできると考えられる。そこで「二十世紀」の満開日予測について、このモデルの精度を従来法と比較し実用性を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 発育速度モデルによる開花予測は、特定の温度に遭遇したときに進む発育量を数値化し、その値の積算値を発育指数(Developmental Index:以下DVIと略記)として行うものである。DVIは「0」から遭遇した温度により少しずつ増加し、最終的に「1」になった時点が満開となる。ただし、栽培条件、地域、温度の測定法の差等により、ずれが生じる場合があるので、用いる場所ごとに満開日のDVIを補正する必要がある。杉浦らのモデルは「幸水」を対象としているため、開花の早い「二十世紀」は「幸水」より小さな値となる。
  2. 1997年から2002年の鳥取県園芸試験場の気象データと「二十世紀」「幸水」の満開日データを用いて、杉浦ら(1997)の方法に従って「二十世紀」「幸水」の満開日におけるDVIを求めたところ、「二十世紀」 の満開日DVIは0.83、「幸水」は杉浦ら(1997)の報告と同じ値(0.9)である(表1)。
  3. 1997年から2002年のデータを用いて、4月1日時点における「二十世紀」の満開日の予測を行い、従来法と精度の比較を行ったところ、満開日の推定誤差は、発育速度モデルを利用した新しい予測法が1.5日、従来法は2.7日で、新しい予測法は従来法より高い精度で満開日を推定できる(表2)。また、従来法では出来なかった、4月1日以降の予測も可能である。「幸水」については、これまで予測を行っていないので比較は出来ないが、本方法により予測可能と考えられる。
  4. 以上の結果、発育速度モデルによる開花予測は「二十世紀」にも適用可能であり、従来法より高い精度の予測が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 新しい予測法は、従来法に替わる「二十世紀」「幸水」の満開日予測法として活用できる。
  2. 本データは鳥取園試内のものなので、各地の予測は補正が必要である。
  3. 予測を行う場合は、パソコンの表計算ソフト(エクセル等)の利用が必要である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 「おさゴールド」等青ナシ新品種の特性解明と夢の快適マネージメントシステムの開発
予算区分 単県
研究期間 2001~2004年度
研究担当者 池田隆政  吉田 亮

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