[成果情報名]

各生育ステージの温度処理がブドウ「安芸クイーン」の着色に与える影響

[要約] 着色開始期以降では20℃は30℃に比べ着色を促進する。とくに着色開始後1~3週目の気温がブドウ「安芸クイーン」の着色に与える影響が大きい。
[キーワード] ブドウ、着色、安芸クイーン、温度
[担当] 広島農技セ・果研・落葉果樹研究室
[連絡先] 電話0846-45-5472、電子メールngcrakuyou@pref.hiroshima.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]
 広島県の瀬戸内沿岸地域では7月から8月のブドウ成熟期の平均気温が県中北部産地に比べて2℃以上高く、着色が不良となりやすい。とくに「安芸クイーン」などの赤色品種でその傾向は顕著である。そこで,着色向上技術確立のための基礎的な知見を得るため、各生育ステージの温度が着色に与える影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]

 昼夜温とも20℃または30℃に設定した自然光型のファイトトロンを用いて温度処理を行った。満開後4週目以降収穫時まで2週間ごとに4処理行い,処理期間以外は供試樹を自然条件下で管理した。処理終了時と収穫時に調査を行った。

  1. 処理終了時点でのアントシアニン含量の増加は、満開後8~9週目の20℃区で最も大きく,その後の収穫時でも最も着色が優れる(図1)。なお,この時期は着色開始後1~3週目にあたる。
  2. 各時期の処理終了時において、30℃区は満開後8~9週目でアントシアニンの蓄積がわずかに認められた以外は、いずれの期間でもアントシアニンの蓄積がほとんどない(図1)。
  3. 着色開始期前後の処理である満開後6~7週目では温度は着色開始時期の早晩に影響を与え、20℃区で着色開始日が早くなる(表1)。
  4. 着色開始前の果実発育第Ⅰ期にあたる満開後4~5週目は、それ以降の処理と異なり、20℃区で30℃区よりも収穫時のアントシアニン含量が低くなる(図1)。20℃区は、30℃区に比べ処理終了時の葉色が薄く、副梢伸長量が少なかったこと,着色開始日が遅れたことなどから、生育の違いが,その後の成熟の早晩や着色に影響を及ぼしたと考える(表1)。
  5. アントシアニン含量以外の収穫時の果実形質は、満開後4~5週目で30℃区の糖度が高く、満開後10~11週目で20℃区の酸含量が高かったが、房重、1粒重には有意な差はない(表2)。
  6. 以上の結果、満開後8~9週目(着色開始後1~3週目)の気温は、ブドウ「安芸クイーン」の着色に与える影響が大きい。

[成果の活用面・留意点]

  1. 着色からみた適地の判断に利用できる。
  2. 着色を良好にする新しい作型に利用できる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 気候温暖化に対応する果樹栽培技術の確立(高温ストレスによるブドウ果実の成熟異常防止技術の開発)
予算区分 受託(気候温暖化プロジェクト)
研究期間 2003~2007年度)
研究担当者 山根崇嘉、柴山勝利

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