[成果情報名]

飼料イネ栽培における牛生尿の追肥施用技術

[要約] 牛尿の有効利用を目的に、飼料イネ生産水田において施用実証を行った結果、LPコートと同程度の生育や収量性及び粗蛋白、TDN濃度が期待でき、また、尿投入時以外に水田面での臭気の滞留はなかったことから、牛尿利用は十分可能である。
[キーワード]牛尿、追肥利用、飼料イネ、悪臭
[担当]岡山総畜セ・環境家畜部・環境衛生科
[連絡先]電話0867-27-3321、電子メール makoto_shiraishi@pref.okayama.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 家畜排せつ物法等の法規制の強化により、家畜ふん尿の処理利用は緊急を要する課題となっている。特に、尿はほ場還元が中心であり、新たな処理・利用法が求められている。
 そこで、近年注目されている飼料イネ生産水田を、牛尿の新たな利用先としてとらえ、簡易な施用技術とその利用方法を実証するとともに、飼料イネへの有効性と土壌等環境へ与える影響を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 牛尿施用実証水田(乾田直播栽培)において、飼料イネとしてヒノヒカリを栽培した(6月6日播種)。試験は、基肥として堆肥のみ(慣行区1)、堆肥+LPコート(被覆肥料N14:P14:K14)(慣行区2)、堆肥+牛尿(実証区)の3区分により行い、各区の窒素施用量は、10aあたり各々2.9kg、5.4kg、5.4kgとした。したがって、牛尿施用量は490L/10aとなる。牛尿の施用は7月(追肥)8月(穂肥)の2回に分け、水口より用水の投入と同時に約1時間かけて行う。
  2. 牛尿施用時に、水田の畦4カ所でアンモニア、硫黄化合物類4成分、低級脂肪酸類4成分の調査を行った結果、水口でのみ硫化水素が0.009ppm検知され、他の場所では認められない。すなわち、本試験程度の施用量であれば、悪臭の規制対象にはならないと考えられる。
  3. 牛尿の水田での拡散状況では、7カ所のポイントにおいてアンモニア態窒素の測定を行ったが、牛尿施用後24時間以内では田面全体へは拡散しない(図1)。
  4. 生育調査は、草丈、葉色、茎数の調査を行い、収穫前の結果では草丈と葉色において実証区が最も低かったものの、牛尿施用による生育は慣行区に比べ大差はない(表1)。
  5. 収穫調査の結果から(表2)、乾物重量では実証区が1,721kgと最も高い収量となるが、試料成分(表3)からみた飼料価値としては、慣行区2が最も高く、実証区と慣行区1がほぼ同程度である。また、尿の施用によるカリウムと硝酸態窒素の蓄積は認められない。
  6. 収穫跡地土壌中の窒素成分は(表4)、実証区が最も低いものの、収量は慣行区と同程度以上得られることから、牛尿の追肥としての有効性が認められる。また、栽培期間中に深さ20、50cmの土壌溶液中の無機態窒素濃度をモニタリングしたところ、牛尿施用による窒素濃度の上昇は認められないので、窒素の溶脱は生じないと考えられる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験に用いた牛尿は、EC:47.8mS/cm、BOD:15,700ppm、KJN:6,400ppmと平均的な成分濃度であり、他の畜産農家の牛尿にも応用可能である。
  2. 本試験の結果を基に、飼料イネ生産農家および水稲農家への普及をはかる。
  3. 牛尿投入量を増加させた場合、悪臭発生と倒伏が懸念される。
[具体的データ]








[その他]
研究課題名 貯留畜尿の機能的液肥化技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2002~2004年度
研究担当者 白石 誠、滝本英二、脇本進行、内田啓一、北村直起、奥田宏健

目次へ戻る