[成果情報名]

黒毛和種長期不受胎牛の放牧による受胎促進

[要約] 黒毛和種長期不受胎牛22頭を放牧飼養したところ、発情徴候やスタンディング発情が全頭で観察され、初回人工授精までの日数は平均34.6日、受胎頭数は21頭(95.5%)、受胎までの日数は平均87.9日となり、放牧は受胎促進を図る上で有効な方法である。
[キーワード]肉用牛、黒毛和種、長期不受胎牛、放牧、受胎促進
[担当]京都畜技セ碇牧・繁殖技術部
[連絡先]電話0772-76-1121、電子メールm-morita55@mail.pref.kyoto.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 肉用牛繁殖経営において、各種繁殖障害による長期不受胎牛の存在は、子牛生産率の低下や繁殖供用年数の短縮に結びつき、農家の経済的損失を増加させている。
 一方、放牧には家畜の生理・生体機能にもたらす利点(放牧効果)があることが知られている。
 そこで、長期不受胎牛を放牧飼養することにより、繁殖機能回復による受胎促進を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 黒毛和種長期不受胎牛22頭(表1)を、 5~11月に当場内野草中心の放牧場7.1haに終日放牧し、自然発情にあわせて放牧場内で人工授精(AI)を実施する。
    また、収牧の近づいた10月以降は、ホルモン製剤を用いた定時AIを実施する。
  2. 放牧に慣れた当場所有牛の体重及びボディコンディションスコア(BCS)は、放牧期間中増加する傾向にある。
    また、放牧に不慣れな農家所有牛の体重及びBCSは、減少する傾向にあるが(2002年度)、放牧馴致期間を設けると(2003年度)、放牧当初減少するものの、 3週以降増減なく推移する(図1)。
  3. 供試牛の繁殖障害の内訳は、リピートブリーダー 5頭、鈍性発情10頭、卵巣静止 1 頭及び卵胞嚢腫 6頭である(表2)。
  4. 放牧後、発情徴候やスタンディング発情が全頭で観察されるようになり、初回AIまでの日数は平均34.6±32.5日である(表3)。
  5. 放牧期間中のAIによる受胎頭数は22頭中21頭(95.5%)、受胎牛のAI回数は平均2.1±1.2回、受胎までの日数は平均87.9±60.4日であり、放牧による長期不受胎牛の受胎促進効果があることが示唆される(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 放牧未経験牛は、ダニ対策(月1回、ピレスロイド系殺虫剤を頭頸部から尾根部まで皮膚に塗布する)を実施していても、小型ピロプラズマ病に感染することがあるので、注意が必要である。
  2. 卵胞嚢腫は、放牧するだけでは治癒しないので、発見時に内溶液の吸引を行い、放牧飼養による体質改善、繁殖機能回復を図りながら、適切なホルモン製剤を併用することで受胎が促進できる。
[具体的データ]









[その他]
研究課題名 放牧による黒毛和種不受胎牛のリフレッシュ効果に関する研究
予算区分 府単
研究期間 2002~2003年度
研究担当者 森田 誠、森 一憲、宮城信司、安達善則
発表論文等 1)平成15年度日本産業動物獣医学会(近畿)発表
2)森田ら(2003) 京都畜技セ碇牧試研報 24 掲載予定

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