[成果情報名]

粗飼料由来の中性デタージェント繊維による粗飼料価指数の推定

[要約] 混合飼料中の粗飼料や粗濃比の違いが粗飼料価指数に及ぼす効果は異なるが、そしゃく行動調査の結果から、乳脂率3.5%の乳生産を維持するには、粗飼料価指数が30.8分/kg、粗飼料由来の中性デタージェント繊維摂取量が3.30kg/日必要と推定できる。
[キーワード]混合飼料、粗飼料価指数、そしゃく、乳脂率、中性デタージェント繊維
[担当]広島畜技セ・飼養技術部
[連絡先]電話08247-4-0331、電子メールcgckikaku@pref.hiroshima.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 乳牛に給与される粗飼料の利用状況は各地域によって異なり、混合飼料(TMR)の場合、非フォーレージ繊維含量の高い食品副産物などの給与も多く、繊維摂取量の違いから、乳量や乳成分は様々な影響を受ける。こうした中で、飼料の物理性を考慮した栄養指標としての粗飼料価指数(RVI:総そしゃく時間(分)/乾物摂取量(kg))は、第一胃内発酵の安定化や恒常性維持に有効な指標であるがこれらの情報は十分でない。そこで、粗飼料の種類や粗濃比が異なるTMRを給与した泌乳牛のそしゃく行動の調査から、乳脂率を維持するRVIの推定を試みる。
[成果の内容・特徴]
 TMR中の粗飼料の混合割合は、トウモロコシサイレージ(黄熟期刈)が30%、37.5%、45%、飼料イネホールクロップサイレージ(出穂後40日刈)が26%、30%、35%、イタリアンライグラスサイレージ(開花期刈)が30%、37.5%、45%とする。これらの粗飼料は、1.3cmの設定で切断し、養分含量は、それぞれ乾物50~60%、粗タンパク質(CP)含量16.5~16.9%、可消化養分総量(TDN)含量77~78%のTMRとして調製する。
  供試牛は、分娩後60日以降の乳量35kg/日以上の6頭もしくは9頭の乳牛を用い、試験期間は14日もしくは21日間を1期とする合計3期のラテン方格法により飼養試験を実施し、そしゃく行動は3日間連続で調査する。
  1. 乳脂率は、トウモロコシサイレージのTMRを除き、粗飼料割合の増加に伴い高くなる(図1)。
  2. RVIは、いずれの粗飼料においても粗飼料割合の増加に伴い直線的に増加する。一方、粗飼料割合が同じ30%でも、粗飼料の種類がRVIに及ぼす効果は異なる(図2)。
  3. RVIと乳脂率では、RVI=10.18×乳脂率-4.85(r=0.946)の回帰式が得られる。この式から、乳脂率3.50%を維持するに必要なRVIは30.8分/kgと推定される(図3)。
  4. そしゃく行動に関係が深いと考えられる繊維では、RVIは総中性デタージェント繊維(NDF)摂取量よりも、粗飼料に由来するNDF摂取量との関係が明解であり、RVI=5.90×粗飼料由来NDF摂取量+11.30(r=0.987)の回帰式が得られる(図4)。この式から、乳脂率3.50%を維持するRVI=30.8分/kgの値を得るには、粗飼料由来のNDF摂取量が3.30kgと推定され、総NDF摂取量のうちの49%程度になる。
  5. 粗飼料由来のNDF摂取量を用いればRVIは推定可能であり、乳脂率維持のための普遍的な指標になることが示唆される。

[成果の活用面・留意点]

  1. TMRを給与する場合、乳脂率を維持する指標として有効である。
  2. TMR調製における切断長がRVIに及ぼす影響についてさらにデータを集積する。
[具体的データ]





[その他]
研究課題名 飼料イネサイレージの調製・給与技術の開発
予算区分 県単および21世紀プロジェクト委託
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 新出昭吾、城田圭子、坂井宏行
発表論文等 1) 平成13年度自給粗飼料品質評価研究会発表 2001年12月
2) 平成15年度関西畜産学会大会発表 2003年9月

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