[成果情報名]

チャ幼木期の根系拡大による施肥窒素利用率の向上

[要約] チャ苗定植前に被覆肥料の植溝処理を行い、定植から4年間は3年目のみせん枝を実施することで根系の深層部への拡大が図れ、施肥窒素の利用率が向上する。
[キーワード]チャ、定植、植溝処理、せん枝、根系拡大、施肥窒素
[担当]滋賀県農業総合センタ-・茶業指導所・茶振興担当
[連絡先]TEL:0748-62-0276 E-mail:ga39@pref.shiga.jp
[区分]近畿中国四国農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 茶栽培においては環境への窒素負荷低減が緊急の課題となっており、施肥法の改善に関する成果は近年多数みられるようになってきたが、窒素負荷の低減法を施肥の面からだけでなく、あらゆる栽培管理から検討した方がよりその効果を高められると考えられる。
 当所では幼木期のせん枝が根の伸育を著しく抑制し、根系の分布に大きな影響を及ぼすこと、定植前の植溝処理が根系の発達を促進することを明らかにしている(昭和63年~平成5年度、地域重要)。そこで、定植前の植溝処理と幼木期のせん枝回数を制限して根系を発達させ、施肥窒素の吸収を促進する栽培管理法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 定植前に被覆燐硝安カリ270日タイプを20kgN/10a植溝処理し、定植から4年間は3年目のみせん枝を行うと(表1)、定植4年目には根系分布に差がみられ、慣行せん枝ではほとんどの根が深さ30cmよりも浅い層に分布するが、本法では深さ30cmよりも深い層にかなりの根量が分布する(写真1)。
  2. 定植4年目の秋肥として15Nで標識した硫安を施用し90日後に茶株全体を掘り取って、部位ごとに全窒素および標識窒素の寄与率(貢献度)をみてみると、各部位の全窒素含有率は本法がいずれの部位も低くなるが、15Nの寄与率はいずれの部位も高くなる。このため、秋肥窒素の利用率はいずれの部位も本法が有意に高く、茶株全体の窒素利用率は1.5倍高くなる(表2)。
  3. 以上のことから、定植4年目では定植前の植溝処理や幼木期の隔年せん枝によって根系が深層部へ拡大し、施肥窒素の利用率向上が図れる。
  4. また、1988~1993年まで実施した植溝処理や隔年せん枝に関する試験(平成5年度近畿中国農業研究成果情報)から、本法の根系拡大効果は定植5~6年目でも持続することを確認しており、施肥窒素の利用率も維持されると推測される。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は、窒素低投入型生産技術マニュアルに掲載する。
  2. 本技術を用いると定植6年目では摘採面分枝数が慣行せん枝に比べ少なくなるが、8年目には慣行せん枝と同数となり同様の茶芽形質となることを確認している。

[具体的データ]







[その他]
研究課題名中山間地域の煎茶園における窒素低投入型生産技術体系の確立
予算区分助成(地域基幹)
研究期間2000~2003年度
研究担当者志和将一、吉澤喜代雄、中嶋治男、今村嘉博、忠谷浩司、近藤知義

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