[成果情報名]

機械摘みにも適する良質・多収てん茶用新品種候補「53-38」

[要約] 手摘みだけでなく機械摘みにも適する良質・多収てん茶用新品種「53-38」を育成した。「さみどり」に比べ樹勢がやや強く株張りに優れる。製茶品質は「さみどり」、「あさひ」と同様に良質で、特にてん茶として良好な覆い香味が付きやすい特性を有する。
[キーワード]チャ、機械摘み、良質、多収、てん茶、覆い香味、「53-38」
[担当]京都府立茶業研究所・栽培課
[連絡先]電話0774-22-5577、電子メールkyoto-chaken@mail.pref.kyoto.jp
[区分]近畿中国四国農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 京都府のてん茶生産は自然仕立てによる手摘みが主流であるが、最近は加工用抹茶などのてん茶用途の拡大から機械摘みのてん茶生産が急増している。しかし、機械摘みてん茶の産地では「やぶきた」が主体であり、てん茶用品種と比較すると品質面で劣ることや京都府で奨励しているてん茶用品種「あさひ」、「さみどり」が手摘み用の品種であることなどから、機械摘みにも適した良質・多収のてん茶用品種の育成が望まれている。

[成果の内容・特徴]

  1. 育成経過
    「「53- 38」は、1975年に採種した「さみどり」の自然交雑種子から選抜した系統である。1979年から系統比較試験、1993年からは現地適応性試験を実施し、栽培形質・品質特性ともに優れているため、2004年に種苗登録申請を行うこととした系統である(写真1)。
  2. 特性の概要
    (1)萌芽期は「さみどり」に比べ3~4日遅く、「やぶきた」に比べ1~2日遅い中生種である(表1表2)。
    (2)挿し木発根性及び初期生育は「さみどり」より優れ樹勢もやや強い(表1)。
    (3)樹姿は直立型だが「さみどり」に比べ株張りが良く、仕立てが極めて容易であることから機械摘みてん茶の栽培にも適している(表1)。
    (4)成葉及び新葉は楕円形で「さみどり」よりやや大きく葉厚がやや薄い(表1表2)。
    (5)収量構成は「さみどり」に比べ新芽数がやや少なく百芽重が重い芽重型である(表2)。
    (6)生葉収量は「さみどり」と同等で優れ、製茶品質も「さみどり」、「あさひ」とほぼ同等で優れる。特に外観では染まりが良く、内質も被覆条件(本ず、黒色化学繊維資材)にかかわらずてん茶として良好な覆い香味が付きやすい特性を有している(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「やぶきた」と同様に炭疽病に弱いため、本病の発生しやすい地域では適切な防除が必要である。
  2. 栽培適地は京都府内全域のてん茶生産地である。
[具体的データ]






[その他]
研究課題名 新品種育成に関する試験 系統比較第7群
予算区分 府単
研究期間 2002年度(1975年~2002年)
研究担当者 荻 安彦、神田真帆、大串卓史、上辻久利
発表論文等 種苗法による品種登録予定

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