[成果情報名]

弱毒キュウリモザイクウイルスの効率的選抜法の開発

[要約] キュウリモザイクウイルスの感染植物体への高温または低温による処理と、処理後の感染葉汁液を接種したNicotiana rusticaに現れるモザイク葉の濃緑色斑だけを分離する方法を組み合わせると、迅速かつ効率的に弱毒ウイルスを選抜できる。
[キーワード] 弱毒ウイルス、選抜法、キュウリモザイクウイルス、濃緑色斑、Nicotiana rustica
[担当] 京都農資セ・応用研究部
[連絡先] 0774-93-3527、covo@kab.seika.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病虫害)
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 キュウリモザイクウイルス(CMV)は、多くの野菜や花きなどにモザイク、萎縮やえそなどの激しい症状を引き起こし、大きな経済的被害を与えている。このため、弱毒ウイルスの利用による防除法の確立が強く望まれているが、弱毒ウイルスを得るには多くの労力と年月を要し、実用的な弱毒ウイルスは極めて少ない現状にある。そこで、効率的に優良な弱毒CMVを選抜する方法を開発する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. CMV(図1A)を接種した直後のNicotiana rustica(ルスチカ)またはトマトの幼苗を15℃あるいは36℃の恒温培養器(16時間日長)で30日間育成する。その後、それぞれの感染葉汁液をChenopodium quinoa(キノア)に接種し、生じた病斑のそれぞれをルスチカに接種する。感染したルスチカのうち、奇形がほとんどないモザイク葉に、濃緑色斑点が混じる個体を選ぶ(表1図1B)。
  2. 濃緑色斑点を周囲の黄色部が含まれないように切り取り、それぞれの汁液をルスチカに接種すると、軽微なモザイクか、ほぼ無病徴の個体が得られる(表2)。これらをさらに単離するため、感染葉から再びキノアを用いて単一病斑分離株を得る。
  3. 本法によって選抜された弱毒CMVのうちの1株36R37は、3回の継代接種を繰り返してもその軽微な病徴が維持され(図1C)、トマトでは既知の弱毒CMV(SRO株)と同等の弱毒性と高い干渉効果を示す。
  4. モザイク葉の濃緑色斑分離が弱毒ウイルスの選抜に有効であることを証明するため、人為的に強毒CMVと弱毒CMVをルスチカで混合感染させ、その後の上葉に現れるモザイク症状の緑色部と黄色部組織をそれぞれ供すると、緑色部からは弱毒CMVのみが分離される(表3)。
  5. 以上のことから、高温または低温による処理とルスチカに現れるモザイク葉の濃緑色斑分離との組合せにより、弱毒ウイルスを効率よく選抜できると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 高温または低温処理する植物は、ルスチカとトマトに限らない。
  2. 本法による弱毒ウイルスの選抜法は、モザイク症状を現す植物とウイルスとの組合せであれば、これらにも適応できる可能性が高い。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 植物ワクチン開発とその利用システムの確立
予算区分 受託(文部科学省科学技術振興調整費・先導的研究等の推進)
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 小堀崇、小坂能尚、夏秋知英(宇都宮大学)
発表論文等 1)小堀ら、弱毒植物ウイルスの分離方法(特願 2004-88022)

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