[成果情報名]

キュウリ黄化ウイルスの低コストの遺伝子診断法

[要約] 一本鎖RNAのキュウリ黄化ウイルス(CuYV)はRT-PCRにより遺伝子診断が可能である。ウイルスの核酸抽出液を自家調整し、核酸抽出のためのサンプル重量とRT-PCRの反応液量を微量化することにより、1サンプルあたり約100円でウイルスが検出できる。
[キーワード] キュウリ黄化ウイルス、CuYV、RT-PCR、低コスト、遺伝子診断
[担当] 愛媛県農試・作物育種室、生産環境室
[連絡先] 089-993-2020、kurisaka-nobuyuki@pref.ehime.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)、生物工学
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 2002年、愛媛県南予地域の露地キュウリを中心にキュウリ黄化病が5haで発生した。本病は一本鎖のRNAのキュウリ黄化ウイルス(CuYV)が原因であるが、抗血清が作製されていないため、診断にはRT-PCR法による遺伝子診断を利用する必要がある。しかし、本法は高価で多検体の診断には不向きであるため、低コスト化を検討する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. ウイルスの核酸はキュウリ葉からAGPC法(Acid Guanidium-Phenol-Chloroform法)で抽出できる(図1)。AGPC法に用いる試薬は自家調整する。
  2. RT-PCRは1ステップRT-PCRキット(Promega社製AccessQuick™)とCuYVのコートタンパク質遺伝子を検出するプライマー(近畿中国四国農業研究センター設計)を用いて、反応液量5μL(PCR装置:TaKaRa社製 TP-3000、PCRチューブ:Applied Biosystems社製 MicroAmp®)でウイルスの検出が可能である。(図23
  3. ウイルスは1.5mLマイクロチューブのフタで打ち抜いたキュウリ葉のディスク(約0.05g)から抽出したサンプルから検出できる。(図4
  4. キュウリ葉サンプルは穴を潰した1mLマイクロピペット用チップを用い1.5mLマイクロチューブ内で粉砕する。
  5. RT-PCRで検出したCuYVのコートタンパク質遺伝子バンドの塩基配列約400bpは、同様のウイルスの既報の配列(AB085612、AY330919)と塩基ベースで各々92.4%と89.6%の相同性がある。
  6. CuYVの遺伝子診断は約7時間で行え、1サンプルあたり約100円で診断が可能である。(表1
[成果の活用面・留意点]
  1. マイクロチューブのフタで打ち抜いたキュウリ葉のサンプルは、-20℃で6か月間保存可能である。
  2. サンプルはキュウリ展開葉の基部から採取する。
  3. RT-PCRの反応液量を5μLで行うときは反応中の蒸発を防ぐため、チューブの密閉に留意する。
  4. 遺伝子診断の経費は消耗品の購入価格より計算している。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 キュウリ新発生ウイルス病防除技術確立試験
予算区分 国補
研究期間 2003~2004年度
研究担当者 栗坂信之、奈尾雅浩
発表論文等 奈尾・栗坂・村上 (2004) 日植病報70(3):276

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