[成果情報名]

温湯種子消毒を核としたイネ種子伝染性病害の総合防除体系

[要約] イネ種子の温湯消毒は多くの種子伝染病に防除効果があり、消毒後の種子は風乾すると約2ヶ月間室内冷暗所で保管しても発病抑制効果,発芽率は維持される。本法はばか苗病に対して効果が低いが、生物農薬(Trichoderma atroviride SKT-1剤)を用いると高い防除効果が得られる。
[キーワード] イネ種子伝染性病害、温湯種子消毒、生物農薬
[担当] 滋賀農総セ・農試・環境部・病害虫管理担当
[連絡先] 0748-46-3081、s236403@pref.shiga.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 イネ種子の温湯消毒は一部の糸状菌に対しては効果が低く、育苗現場で病害の発生が確認されている。また、本県では温湯消毒種子が流通しているが、効果の有効期間は不明である。そこで、温湯種子消毒を核とした化学合成農薬を使用しない効果的な防除手法と、温湯消毒種子の発病抑制効果および発芽率の持続期間を検討し、イネの減農薬種子消毒体系の確立を目指す。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 60℃~62℃10分間の温湯浸漬処理は、多くの種子伝染性病害(もみ枯細菌病,苗立枯細菌病,褐条病,いもち病,イネシンガレセンチュウ)に対して化学合成農薬と同等の防除効果を示す(図1)。ばか苗病に対しては効果が低いが、温湯浸漬処理した種子のTrichoderma atroviride SKT-1剤200倍液24時間浸漬処理は、ばか苗病に対して発病抑制効果が高く、その他の病害に対する効果は維持されている(図2)。
  2. 温湯浸漬処理した種子を風乾すると、室内冷暗所(平均室温14.9℃)で約2ヶ月間保管しても、発病抑制効果および発芽率の低下は認められない(図3)。
  3. 以上から、イネの種子伝染性病害に対する減化学農薬防除技術として、60~62℃10分間の温湯浸漬処理によるイネの種子消毒は有効であり、高品質な苗が求められる育苗センターなどでは、温湯種子消毒とTrichoderma atroviride SKT-1剤を併用した総合防除が有効であると考えられる。温湯消毒種子は室内冷暗所で約2ヶ月間保存できることから、温湯種子消毒機の有効利用および温湯種子消毒技術の普及拡大が可能と考えられる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 温湯浸漬後の種子は清潔な冷暗所で保存する。また、病原菌が混入する可能性があることから、保存期間は短い方が望ましい。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 化学農薬に依存しないイネ種子伝染性病害の防除技術の検討
予算区分 県単
研究期間 2000~2004年度
研究担当者 冨家和典、長谷部匡昭、角田巖

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