[成果情報名]

ニンジンディスクによるスミレ類根腐病菌の簡易土壌検診法

[要約] 花壇苗に発生するスミレ類根腐病菌(Thielaviopsis basicola)は輪切りにしたニン ジンディスクを用いて土壌から高感度かつ簡易に検出され、育苗施設内土壌の汚染状況 を把握することができる。
[キーワード] スミレ類根腐病、Thielaviopsis basicola、土壌検診、ニンジンディスク
[担当] 奈良農技セ・研究開発部・環境保全担当・病害防除チーム
[連絡先] 0744-22-6201、nishizaki@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 主に花壇苗を中心とする鉢花生産において、Thielaviopsis basicolaによるスミレ類根腐病等の土壌病害が発生し、伝染源としての土壌汚染が問題となっている。防除対策上育苗施設内土壌の本菌による汚染状況を把握することが重要であることから、輪切りにしたニンジンディスクを用いて土壌から高感度かつ簡易に本菌を検出し、土壌の汚染状況を把握する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 5mm程度の厚さで輪切りにした西洋ニンジンのディスクをT.basicola汚染土壌に数秒間押し付けた後、表面に付いた土壌を払い落とし、乾燥を防ぐために湿らせたろ紙を敷いたシャーレ内に処理面を上にして置床し、25℃で4~7日間培養すると、ニンジンディスク上の維管束部を中心にT.basicola 特有の灰白色~黒褐色の菌そうが選択的に生育する(写真1)。
  2. ニンジンディスクによる土壌からのT.basicolaの検出感度は、選択培地を用いた土壌混合平板法と同等の高い検出感度がある(表1表2表3)。
  3. 土壌中の菌密度が低い(10cfu/ml・土以下)場合、ディスクの検出率が低下するので1検体当たり2~3枚のディスクを使用する(表1表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 土壌検診に用いるニンジンは鮮度のよいものを用いる。検出中にひび割れを生じる様な乾燥したニンジンを用いると菌そうの発達が悪く、検出感度は極端に低下する。
  2. 複数箇所の土壌検診を行う場合は、直接土壌に手が触れないようビニル袋等に手を入 れて処理を行い、調査地点毎に新しいものと交換する。
  3. ニンジンディスクの培養温度は22~25℃が最も適しており、20℃以下、28℃以上にしない。
  4. 培養期間中はニンジンが乾燥しないよう注意するが、過湿になるとディスクが腐敗し やすくなるので余分な水分は控える(直径90mmのろ紙当たり水2ml程度)。
  5. 肉眼での判定が困難な場合や初めて検診を行う場合には、光学顕微鏡を用いてT.basicola特有の厚膜胞子の形成を確認する(写真2)。慣れれば実体顕微鏡(×40)での確認も可能である。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 鉢花類黒根病の総合防除技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2003~2005年度
研究担当者 西崎仁博、堀本圭一、吉村あみ、平山喜彦、藤井裕子(中部農林)

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