[成果情報名]

鉢花シクラメン栽培における給水時の溶存酸素濃度制御

[要約] エブアンドフロー給水や底面ひも給水において、給水時の溶存酸素濃度を高めることにより根圏部の環境が改善され、シクラメンの開花が促進され生育が良好となる。
[キーワード] シクラメン、エブアンドフロー給水、底面ひも給水、溶存酸素
[担当] 奈良農技セ・研究開発部・生産技術担当・花き栽培チーム
[連絡先] 0744-22-6201、maeda@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 鉢花シクラメンの根圏部では夏季の気温上昇に伴い植物根や微生物の呼吸活性が高まり、二酸化炭素濃度が大幅に上昇する.さらに、給水後の排水不良による過湿状態は根圏における気相環境の劣悪化を助長し、シクラメンの生育障害および生育遅延の発生要因となる。
 そこで、エブアンドフロー給水や底面ひも給水等の自動給水において、給水時の溶存酸素濃度を制御することにより、シクラメンにおける栽培時の生育および観賞時の品質向上を図る。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. エブアンドフロー給水において、給水時の溶存酸素濃度を高めると、シクラメンの開花が前進し、生育が良好になる(表1)。
  2. 底面ひも給水において、給水時の溶存酸素濃度を高めると、多くの栽培品種において開花が前進し、生育も良好となる(表2)。
  3. 観賞時の開花数および開花持続性は、溶存酸素濃度に応じて良好となる(図1左)が、黄化葉の発生率は長期間の高濃度処理により増加する(図1右)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 給水時の溶存酸素濃度を高めるほど開花時期が前進するので、早期出荷向けの栽培に適している。
  2. 溶存酸素に対する生育反応には品種間差が認められるので、実用段階での効果的な処理には適用品種の選択が必要である。
  3. 長期間にわたる高濃度処理により根の生育が旺盛になると、観賞時の黄化葉の発生率が増加する傾向が見られる。そのため、実用段階では高濃度処理を過湿害の発生しやすい夏季に限定したり、栽培期間を通じた処理を行う場合には、処理濃度を下げる等の使い分けが必要になる。
  4. エブアンドフロー給水および底面ひも給水における溶存酸素濃度制御は、酸素濃縮機を使用し、毎分5リットル流量で給水開始の12時間前よりへエアストーンによるバブリングを開始する。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 環境制御による効率生産技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2001~2003年度
研究担当者 前田茂一、仲照史、角川由加
発表論文等 前田茂一、仲照史、角川由加 (2004) 園芸学会近畿支部大会

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