[成果情報名]

透湿性白色シートを用いたイチジク「桝井ドーフィン」の高品質果生産

[要約] イチジクの樹冠下への透湿性白色シート被覆により、果実の糖度、着色が向上する。また、腐敗果が減少し、日持ちも向上する。果実品質向上効果は7月被覆開始が最も高いが、6月に被覆開始すれば、スリップス被害の軽減効果も大きい。
[キーワード] イチジク、透湿性白色シート、品質向上、腐敗果、スリップス被害
[担当] 兵庫県立農林水産技術総合センター・農業技術センター・園芸部
[連絡先] 0790-47-2424、takashi_mano@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 イチジクの果実品質は土壌水分や日照などによって左右されやすく、曇天多雨条件下では果実の裂開、糖度の低下、着色不良等が起こりやすい。そこで、地表からの水蒸気は発散するが、降雨などの水は通さず光をよく反射する「透湿性白色シート」を新梢伸長期から果実成熟期にかけて樹冠下に被覆し、水分コントロールと光環境の改善によって果実品質を向上させる。
[成果の内容・特徴]
  1. 不織布製の透湿性白色シートをイチジク「桝井ドーフィン」一文字整枝樹の樹列に平行に被覆(1樹列につき1m幅を2枚、7月5日~11月10日)することにより、着色、糖度とも有意に向上し、果実の目の裂開も小さくなる(表1)。
  2. シートの被覆により新梢伸長はやや抑制される傾向にあるが、果実品質は、7月に被覆を開始した場合が最も良好である。また、スリップス被害は6月および7月に被覆を開始すれば軽減され、特に6月被覆の効果が高い。天候不良期における収穫後の果実腐敗も軽減される(表2)。
  3. シートの被覆によりpF値(地下30cm深)は総じて高く推移し、乾燥傾向が強くなるが、無処理区は降雨、かん水等によって土壌水分の変動が大きい(図1)。樹冠内部の光環境は、特に地上高50cm及び80cmの相対日射量が増え、樹冠下部の光環境が顕著に向上する(表3)。
  4. 10a当たりの資材費は約12万円を要するが、果実品質の向上と腐敗果、スリップス被害果の軽減等により、資材費以上の経済効果が期待できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 比較的安定した効果が期待できるため、産地での差別化商品づくり等に利用する。
  2. 被覆した状態でかん水できる、チューブかん水等の設備が必要である。
  3. 新梢伸長を抑制する傾向があるので、樹勢の弱い園には適用しない。また、風害にやや弱いため、防風施設の充実を図る。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 イチジクの超早期成園化による増収技術の確立
予算区分 県単、受託
研究期間 2001~2005年度
研究担当者 真野隆司、水田泰徳、福井謙一郎、宇田明、濱田憲一
発表論文等 1)真野隆司ら(2003)園学雑.72(別2).346.
2)真野隆司(2003)落葉果樹研究会栽培・土壌肥料分科会.43-46.
3)真野隆司(2004)果実日本.第59巻.第10号.59-61.

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