[成果情報名]

カーボンクリアランス法による鶏の免疫機能評価

[要約] 精製パン酵母(YE)を投与した鶏の食細胞の亢進を確認の上、マウス食細胞の機能評価に用いられるカーボンクリアランス法の定法に基づき決定した条件でカーボンクリアランス能を測定すると、YEL区において有意な亢進が確認できる。よって同法は、鶏の自然免疫力評価にも有効である。
[キーワード] カーボンクリアランス法、自然免疫力、鶏
[担当] 京都畜技セ・経営・指導部
[連絡先] 0773-47-0301、chikken@mail.pref.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 これまで家禽における免疫機能は、抗体産生や遅延型過敏反応などの獲得免疫力を主体に評価されており、生体防御を司る初期段階の自然免疫力の評価方法についての検討例は少なく、この確立が課題となっている。カーボンクリアランス法は、マウスの食細胞系の機能評価方法である。血中に侵入した異物が血中及び組織の貪食細胞に貪食されて血中から排除されるという原理を応用し、血中に投与したカーボン粒子の経時的な減少量から個体の貪食能を評価する方法である。これを、鶏の自然免疫力を評価する方法のひとつとして応用可能かどうか検討する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. カーボンクリアランス法の定法を基に、鶏の測定条件を決定する。すなわち、1%ゼラチン加PBSで3倍に希釈したカーボンインク5ml/kgBWを翼静脈から投与し、投与3分及び10分後に反対側の翼静脈から80μl採血し、0.1%炭酸ナトリウム溶液8ml中に吹き込み溶血させた後、675nmの吸光度を測定し、表1の式に従って貪食指数Kを求める。
  2. 精製パン酵母(YE)の0.1%(YEL区)及び1%(YEH区)の水溶液及び精製水(対照区)を採卵鶏各区3羽に3週間自由飲水させ、末梢血中マクロファージの走化性(ケモタキシスチャンバー法による)及び貪食能(ラテックスビーズ法による)がYEL区、YEH区とも対照区に比べ有意に亢進することを確認の上、1.に示す条件でカーボンクリアランス能を評価する。
  3. 各区についてカーボン投与後3、5、10、20分後の血液を採取すると、図1に示すとおり、血中のカーボンは各区とも経時的に減少するが、対照区に比べてYEL区及びYEH区は早く減少し、血中に投与した異物(カーボン粒子)に対するクリアランス能の亢進が認められる。
  4. 各区の吸光度の値を式1に当てはめ、貪食指数Kを算出すると、対照区に比べてYEL区は有意なカーボンクリアランス能の亢進が認められる。(表1
  5. 精製パン酵母給与に伴う鶏の自然免疫力向上が、カーボンクリアランス法によって検出できたことから、同法は、鶏の自然免疫力評価方法として有効であると判断される。
[成果の活用面・留意点]
  1. カーボンクリアランス法の実施に必要な機器類は分光光度計のみであること、また短時間で評価ができる利点があり、様々な場での活用が期待できる。
  2. カーボンクリアランス法は、1個体に1回のみ実施可能な評価方法である。従って経過を追って自然免疫力を評価する場合は、他の評価方法と組み合わせて実施する必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 カーボンクリアランス法による鶏の免疫機能評価
予算区分 府単
研究期間 2004年度
研究担当者 西井真理、松岡三知世
発表論文等 西井ら(2005)京都畜技セ成績2:掲載予定

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