[成果情報名]

穂発芽粒の混入が水稲種子の発芽率や苗質に及ぼす影響と調製方法

[要約]水稲種子に穂発芽粒が混入した場合、その除去には篩選よりも比重選が有効である。発芽試験のための休眠打破処理が発芽率を低下させることはないが、籾の状態では判別しにくい程度の軽い穂発芽粒が多いと、発芽試験結果以上に苗質が劣るおそれがある。
[キーワード]イネ、穂発芽、発芽率、苗質、比重選、休眠打破、保管
[担当]山口県農業試験場・栽培技術部・作物栽培グループ
[連絡先]電話番号 083-927-0211、電子メール nakatsukasa.masamichi@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・作物生産(夏作)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 山口県における2004年水稲作では、「コシヒカリ」を中心に度重なる台風による倒伏の拡大と、収穫期の不順天候により穂発芽が多発し、種子確保も極めて困難な状況となった。
 このため、穂発芽粒が混入した種子の利用可否の早期判断と適切な調整作業が求められるとともに、現場サイドからは、発芽試験における休眠打破の加温処理が却って発芽率を低下させるのではないか、などの疑問が寄せられた。
 今後、同様の災害が発生した場合に適切な対応を行うため、種子の調製方法、穂発芽粒の混入が発芽率に及ぼす影響等を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 調製方法による穂発芽粒除去効果は、篩選(2.1~2.2mm縦目篩)よりも比重選(1.13の塩水選)で高く、特に穂発芽程度の大きい粒の除去効果が高い。発芽率も比重選で高くなるが、歩留まりはやや低くなる(表1)。
  2. 篩目別の穂発芽粒除去効果は、篩目を2.1mmから2.2mmに大きくしても高まらず、同程度か、むしろ低下する(表1)。
  3. 収穫後早期の発芽試験において、穂発芽粒の混入が多い場合でも、休眠打破のための加温処理(50℃・5日間)による発芽率の低下はなく、休眠が深いと思われる品種では発芽率が明らかに向上することから、通常どおりの休眠打破処理は必要である(図1)。
  4. 収穫・調製後、冷暗所等で適正に保管すれば、穂発芽粒の混入が多い場合でも発芽率は翌春まで低下しないが、保管条件が不良な場合(30℃・2ヶ月)には低下する(図2)。
  5. 程度の軽い(程度3、4)穂発芽粒の混入が多いと、収穫翌春の育苗時に、健全生育苗の割合が発芽試験の発芽率よりも低下し、苗質が劣る。程度3、4の穂発芽粒が15%程度混入することにより、健全生育苗の割合は発芽試験の発芽率より5%程度低くなる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 2004年山口県内産水稲生産物を供試した結果である(表1)。
  2. 籾すりを行い、籾の状態では判別しにくい程度の軽い穂発芽粒も調査することにより、種子としての利用可否をより適切に推測できる。
  3. 実際の種子の調製にあたっては、充実度等も考慮して篩目等調製方法を決める必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名農作物生育診断予測
予算区分県単
研究期間2004年度
研究担当者中司祐典

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