[成果情報名]

細菌エンドファイトを接種した水稲のイネシンガレセンチュウ密度抑制効果

[要約]細菌エンドファイトAzospirillum sp.B510a株の1×108cfu/mlの細菌懸濁液 300ml/箱を移植7日前までに育苗箱に施用すれば、移植から収穫期のイネシンガレセンチュウ密度を抑制することができる。
[キーワード]イネ、細菌エンドファイト、Azospirillum sp.、イネシンガレセンチュウ
[担当]広島農技セ・環境制御研究部
[連絡先]電話番号 082-429-2592、電子メール ngckanseigyo@pref.hiroshima.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 イネシンガレセンチュウは水稲の種子伝搬性線虫であり、多発すると収量低下や黒点米による品質低下が起こる。イネシンガレセンチュウの防除には化学農薬や温湯消毒が行われている。近年、植物に内生する細菌(以下、細菌エンドファイト)を利用した病害虫の生物的防除法が検討されている。そこで、水稲から分離された細菌エンドファイトを使ったイネシンガレセンチュウの防除法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 細菌エンドファイトAzospirillum sp.B510a株(以下、B510a株)を1×108cfu/mlとなるように生理食塩水で調整して細菌懸濁液を作成し、移植2日前に育苗箱(水稲(品種 ヒノヒカリ))当たり300mlを均一に施用する。1/5000aワグネルポットに細菌エンドファイトを接種した苗を移植し、その直後にポット当たりイネシンガレセンチュウ3,000頭を放虫する。その結果、B510a株を接種したイネの収穫時の籾当たり線虫数は0.89頭と無処理区の約1/3に低下する(表1)。
  2. 前年のイネシンガレセンチュウ汚染種子(品種ヒノヒカリ)(生存線虫数0.92頭/籾)を育苗した育苗箱にB510a株の細菌懸濁液(1×108cfu/ml 300ml)を7日前に接種して本田に移植する。B510a株接種区の穂揃い期における籾当たり線虫数は0.18頭と対無処理区の約1/2となる(表2)。B510a株接種区の収穫期における籾当たり線虫数は1.42頭と無処理区の約1/2となり、移植時にベンフラカルブ5%粒剤の60g/箱を育苗箱に施用した区と同等の防除効果が得られる(表3)。
  3. B510a株接種区の穂揃い期から収穫期における籾内の線虫増殖率は無処理区を比較して同等である(表4)。このため、線虫密度の抑制は線虫が籾内に侵入する以前の移植~穂揃い期の間に起こっていると考えられる(表24)。
[成果の活用面・留意点]
  1. Azospirillum sp.B510a株の製剤化技術や施用技術を開発中である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名水稲苗箱処理への細菌エンドファイト併用による減農薬・省力防除技術の開発
予算区分競争的資金(高度化事業)
研究期間2004~2006年度
研究担当者星野 滋、林 英明
発表論文等特許申請中

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