[成果情報名]

腐植と無機態窒素の量に応じたハウスホウレンソウの堆肥・肥料適正施用技術

[要約]籾殻牛糞堆肥を連用するハウスホウレンソウ栽培では、腐植と無機態窒素の量に応じた堆肥・肥料の削減で、収量を低下させずにホウレンソウの硝酸を低減できる。収穫後土壌の無機態窒素を10mg/100g以下にする施肥を行うと、硝酸はほぼ3000ppm以下になる。
[キーワード]ホウレンソウ、硝酸含量、籾殻牛糞堆肥、堆肥連用、腐植量、無機態窒素
[担当]山口農試・生産環境部・環境保全グループ
[連絡先]電話番号 083-927-7030、電子メール a17201@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 土壌の物理性改善などのため、籾殻牛糞堆肥をハウスに長期間施用したホウレンソウほ場では、腐植量の蓄積に伴って可給態窒素、無機態窒素も多くなる。無機態窒素が過剰にある土壌で栽培されたホウレンソウは、硝酸の蓄積が危惧される。そこで土壌の無機態窒素とホウレンソウの硝酸含量を低減するため、土壌の腐植量や無機態窒素量に応じた堆肥、肥料の施用技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 土壌の無機態窒素量は、毎作施肥を行うと、腐植10%土壌では著しく増加するが、腐植8%以下の土壌で大きな変化は見られない。施肥量を削減し、夏期は無肥料栽培とすると、腐植8%土壌では1年後の夏作から、腐植4%土壌ではその直後から、土壌の無機態窒素量はほぼ10mg/100g以下になる。無堆肥・無肥料栽培を継続すると、腐植10%土壌では2年後の夏作から土壌の無機態窒素量は10mg/100gを下回り始める。(表1)。
  2. ホウレンソウの硝酸含量は、堆肥及び肥料の施用量を削減すると低減される。腐植10%土壌で無堆肥・無肥料栽培を継続すると、夏作では収穫後土壌の無機態窒素量が10mg/100g以下にしないと3000ppm以下にならないが、冬作では3000ppm程度になる。腐植8%土壌で夏期の無肥料栽培を行うと、半年後より概ね3000ppm以下になる(図1)。
  3. 収穫後土壌の無機態窒素量とホウレンソウの硝酸含量には相関が見られ、収穫後土壌の無機態窒素量が10mg/100g以下のとき、ホウレンソウの硝酸含量はほぼ3000ppm以下になる(図2)。
  4. ホウレンソウの収量は、腐植10%、8%の土壌では、夏期の無肥料栽培を継続しても慣行と同等であるが、腐植4%土壌での夏期の無肥料栽培は、翌年の3~6月に慣行栽培より減収することがある。腐植10%土壌では2年間の無堆肥・無肥料栽培を行っても、慣行と同等である。(表1)。
  5. 堆肥2t/10a/年の施用で、腐植8%土壌では腐植量が維持されるが、腐植10%土壌では腐植量が減少する。
  6. 上記結果と現地協議に基づき、腐植量を7~8%、収穫後土壌の無機態窒素量10mg/100g以下を目標とした、堆肥と肥料の施用基準を作成した(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本技術は100%有機質の肥料を使用する栽培を対象とする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名雨よけホウレンソウ栽培における環境負荷を考慮した有機物施用法および施肥技術
予算区分国補(施用基準等設定栽培試験)
研究期間2001~2005年度
研究担当者杉田麻衣子、国信耕太郎、徳永哲夫

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