[成果情報名]

トマト苗の生育からみた弱酸性電解水の利用限界濃度

[要約]トマト養液栽培において、病害予防の目的で、次亜塩素酸を高濃度に含む弱酸性電解水を培養液に添加する場合、培養液のリン酸一アンモニウムを除けば有効塩素濃度0.7ppmまでは生育に影響しない。
[キーワード]弱酸性電解水、有効塩素、リン酸一アンモニウム、トマト、苗
[担当]大阪食とみどり技セ・都市農業部・野菜園芸グループ
[連絡先]電話番号 0729-58-6551、電子メール yamasaki@afr.pref.osaka.jp
[区分]近畿中国四国農業・野菜
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 土壌伝染性の病害発生の予防を目的として、根腐病(Pythium aphanidermatum)などに殺菌効果のある次亜塩素酸を高濃度に含む弱酸性電解水(pH5.6)を養液栽培の培養液中に混入するシステムの開発を民間企業と共同で進めている。養液栽培における植物の根痛みの原因の1つが、水道水中の次亜塩素酸イオンがリン酸一アンモニウムのアンモニウムイオンと反応してできる結合塩素(クロラミン)という物質の影響であることが明らかにされている。そこで、トマト幼植物の生育に影響の少ない弱酸性電解水の混入の方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 有効塩素濃度1.1ppm程度に希釈した弱酸性電解水にトマト根を入れると、根量が多いほど有効塩素濃度の減少速度は速い。培養液中に根がある場合に有効塩素濃度が0ppmになるのは約2時間後と考えられる(図1)。
  2. 高い有効塩素濃度(5ppm)の培養液中にトマト苗の根部を30分以上浸漬すると、その後の苗の生体重増加率が抑制される(図2)。
  3. 弱酸性電解水を混入して有効塩素濃度を高めた培養液にトマト苗を定植すると、苗の生育が抑制されるが、培養液中にリン酸一アンモニウムを含まない場合には苗の生育抑制が緩和される(図3)。また、リン酸一アンモニウムを除いた培養液では、有効塩素濃度を0.7ppmまで高めても、その後のトマト苗の生育抑制は認められない(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 弱酸性電解水による生育抑制は、根量が少ない幼植物に起こりやすい。リン酸一アンモニウムを除いた場合には、弱酸性電解水による生育への影響を小さくできる。弱酸性電解水を培養液に混入して2時間以上経過後に、リン酸一アンモニウムを加える等の工夫をすれば、弱酸性電解水のトマト栽培への利用が可能と考えられる。本成果はトマト苗に対する評価であるので、収穫適期の生産物に対する評価は別途行う必要がある。
  2. M社製の弱酸性電解水生成装置は、無隔膜式で、0.2%の塩化カリウム原液を直流電流により電気分解し、水道水と希釈混合してpH5.6、有効塩素濃度40ppmの弱酸性電解水原液を生成できる能力がある。上記試験には、弱酸性電解水を汲み置き水で適宜希釈して用いた。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名養液栽培の培養液殺菌・リサイクル処理技術の開発
予算区分受託
研究期間2001~2004年度
研究担当者山崎基嘉、草刈眞一

目次へ戻る