[成果情報名]

酵素センサーによるイチゴ果実の組成別糖含量の測定

[要約]イチゴのグルコース、フルクトース、スクロースは、酵素センサーで測定可能である。酵素センサーはグルコースとフルクトースの同時測定が可能であり、3成分の測定が約3分で完了するため、HPLC に比べ非常に迅速である。
[キーワード]バイオセンサー、グルコース、フルクトース、スクロース、添加回収法
[担当]奈良農技セ・研究開発部・生産技術担当・野菜栽培チーム
[連絡先]電話番号 0744-22-6201、電子メール maegawa@naranougi.jp
[区分]近畿中国四国農業・野菜
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ果実内の糖組成は、品種、作型および収穫時期による差異があることが知られており、これらの違いが食味に影響を及ぼす可能性が指摘されている。組成別糖含量の迅速で簡便な測定は、収穫期間を通じて食味を安定させる栽培法を検討したり、食味に優れた品種を育成する上で有効と考えられる。
 そこで、HPLC(LC-10 シリーズ、NH2 カラム、(株)島津製作所)と比較して測定時間が短く、また、測定前の試料調製が簡易な酵素センサー(BF-5D、王子計測機器(株)、食品工業42:36-43.1999)によるイチゴ果実の組成別糖含量測定の可能性を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ数品種を用いて酵素センサーの測定精度を添加回収法で検定すると、グルコースおよびフルクトースの回収率は101~106%、スクロースは98~103%となり、目的とする糖成分がほぼ全量測定できる。
  2. 酵素センサーによる糖含量測定値とHPLC による測定値の間には高い相関(r=0.96)が認められ、相関係数はグルコースおよびスクロースで0.96、フルクトースで0.86 である(図1)。
  3. 国内育成13品種と国外育成3品種について、酵素センサーおよびHPLC による測定値から糖の組成比率を比較すると、品種間の差異はほぼ同様に現れる(図2)。
  4. 果汁中酵素の失活にアルコールを用いると、フルクトースの検出力が低下する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 酵素センサーでは、イチゴ果汁をイオン交換水で体積比50倍に希釈した検体を用いる。HPLCでは、果汁約1gを90%EtOHで10mlにフィルアップしたものを用いる。
  2. 酵素センサーでは、果汁採取後、直ちに測定する。測定までの時間が長い場合は、果汁中酵素による糖組成の変化が起こるので、酵素失活のための対策が必要である。
  3. スクロースは、酵素キットによりグルコースとフルクトースに分解して測定後、分解前との差から換算する。
  4. グルコース、フルクトースおよびスクロースの三成分の測定に、ランニングコストとして1検体当たり約42 円を要する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名大和野菜ブランド創出技術の開発
予算区分県単
研究期間2004 年度
研究担当者前川寛之、西本登志、矢奥泰章、米田祥二
発表論文等園学雑74 別1:309、2004

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