[成果情報名]

ブドウ「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の無核化技術

[要約]ブドウ「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は、花穂下部を使用して整形し、開花前にストレプトマイシン、満開3日後にジベレリンとフルメット、満開10~15日後にジベレリンを処理することによって、有核果に近い外観の無核果が得られる。
[キーワード]ブドウ、マスカット・オブ・アレキサンドリア、無核、ストレプトマイシン、ジベレリン、フルメット
[担当]岡山農総セ・農業試・果樹研究室
[連絡先]電話番号 0869-55-0276、電子メール kazuna_kobayashi@pref.okayama.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は120年間、岡山の特産果実として有核栽培を行ってきた。有核果こそが「マスカット・オブ・アレキサンドリア」であるという生産者の意識が強いため無核化は検討されなかったが、近年消費者の嗜好の変化により種無しブドウの需要が高まっている。そこで消費者の多様なニーズに応えるため「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の無核化技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. ストレプトマイシン200ppmの散布または浸漬処理を満開7~14日前に行うことで、ほぼ果粒の100%が無核化できる(データ省略)。
  2. ジベレリンの1回目処理は、満開3日後に、フルメット5ppmを混用したジベレリン25ppmを花穂に浸漬処理すると十分に着粒し、果形も有核果とほぼ同様になる(表1)。
  3. ジベレリンの2回目処理は、満開10~15日後にジベレリン25ppmを浸漬処理する。ジベレリン2回目処理にフルメットを混用すると縮果障害の発生が多く、果粒が変形する(データ省略)。
  4. 糖度は、同一樹内では無核果の方が有核果に比べて低いが、出荷基準から判断して問題はない(表2)。
  5. 無核果は、硬核期の果粒肥大停滞がほとんどみられず、果粒軟化が有核果より約10日早い(図1)。成熟も同程度早まる。有核果では硬核期に限り縮果障害が発生し、収量が低下する場合があるが、無核果ではこの障害はほとんど発生しない。
  6. 花穂整形時には花穂上部ではなく下部を使用した方が、作業性、収穫果房形が優れる。花穂使用部位による、果粒重と糖度への影響はない(表3)。
  7. 果粉溶脱・ジベレリンによる薬害はなく、マスカット香の主成分であるリナロール含有量についても、無核果は有核果の約8割を有しており(データ省略)、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の特性を備えている。
[成果の活用面・留意点]
  1. 樹勢が弱い樹に適用すると、肥大が有核果より劣る傾向がある。
  2. 成熟期に果皮表面がカスリ状に褐変する障害の発生は、有核果より多い。
  3. ジベレリンの本使用法は登録申請中(2005年12月現在)。
  4. ジベレリン処理によって小果梗が有核果より硬くなり玉直し作業は難しい。そこで、摘粒をジベレリン2回目処理以前に一度で終わらせると作業が効率良く行え、仕上がりもきれいである。また、脱粒を防止するため、果粒間の隙間がないような房づくりを行う。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名「マスカット・オブ・アレキサンドリア」無核化技術
予算区分県単
研究期間2001~2005年度
研究担当者小林一奈、藤原 聡、田村史人、小野俊朗、各務裕史

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