[成果情報名]

着果と水分ストレスによるウメ樹体地下部への光合成同化産物分配抑制

[要約]ウメ樹体の着果量が多いと同化養分の根への分配が抑制される。さらに、土壌の 乾燥および乾燥・過湿の繰り返しでその傾向が助長される。
[キーワード]ウメ、水分ストレス、着果負担、光合成同化産物、分配・転流
[担当]和歌山農総技セ・果樹試・うめ研
[連絡先]電話番号 0739-74-3780、電子メール tsuchida_y0001@pref.wakayama.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・果樹
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 ウメ樹体は、土壌の乾燥、過湿および着果負担により、新梢成長や幹の肥大などの生育が抑えられることが明らかになっている。この原因として光合成速度の低下に加え、各器官の間に光合成同化産物の競合が起こっているためと考えられる。しかし、着果負担や水分ストレスがウメの光合成同化産物の動態に及ぼす影響について知見が少ない。そこで、7年生「南高」を用いて着果量の多い樹体(100果/樹冠m2)と少ない樹体(30果/樹冠m2))それぞれに、5月上旬から9月下旬まで被覆マルチにより葉の水ポテンシャルを平均-1.1MPaに調節した樹体(乾燥区)、葉の水ポテンシャルを-0.6~-1.1MPaに調節した樹体(乾湿区)および適宜灌水を行い、葉の水ポテンシャルを平均-0.6MPaに調節した樹体(適湿区)について、収穫期直前の6月と収穫3ヶ月後の9月に13Cラベルした炭酸ガスを吸収させて一週間後に解体し、各器官の13C吸収量を測定することにより、着果と水分ストレスが光合成同化産物の分配・転流に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 収穫前の6月におけるウメ各器官のシンク力(器官別乾物重当たりの13C吸収量)は、果実で最も大きく、次いで葉、新梢であり、生育の旺盛な器官ほど大きい(図1)。
  2. ウメ樹の同化量は、土壌の乾燥および乾燥・過湿の繰り返し等の水分ストレスにより小さくなる(図1)。
  3. 着果量の多い樹体は、収穫前の6月に果実への光合成同化産物の分配率が高くなり、他器官、特に新梢や地下部への分配率が低くなる(図2)。その傾向は土壌乾燥および乾燥・過湿の繰り返し等の水分ストレスにより助長される。また着果の多い樹体は収穫後の9月でも光合成同化産物の地下部への分配率が低い。
  4. 9月の光合成同化産物の地下部への分配率は6月に比べて高く、根の太さ別では2mm以上の中~太根で分配率が高くなる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 着果期から貯蔵養分蓄積期までの生育期間を通じたウメ樹体の総合管理技術指標を作る際の基礎資料として活用できる。
  2. 生産者にウメ樹体の水分管理と着果負担の適正化を説明するための啓発資料として利用できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名ウメの生育不良の再現と樹勢回復技術の開発
予算区分指定試験
研究期間2004~2005年度
研究担当者土田靖久、岡室美絵子、島津 康

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