[成果情報名]

1月に成熟するカンキツ新品種「あまつづみ」

[要約]  「あまつづみ」は、「安芸タンゴール」(「興津早生」×「トロビタオレンジ」)に 「サザンレッド」を交配して育成したカンキツ新品種である。高糖度で果皮の紅色が濃く、 オレンジ香を有し、さらに、じょうのう膜が柔らかく、口あたりの良い良食味品種で、育成地では1月下旬に 成熟期となる。
[キーワード] カンキツ、新品種、育種、交雑品種、あまつづみ
[担当] 広島農技セ・果樹研・常緑果樹研究室
[連絡先] 電話0846-45-1225、電子メールngcjouryoku@pref.hiroshima.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、ウンシュウミカンおよび四晩柑は、消費量および単価の低迷が続いている。そこで、これらに 代わって、12月から1月の年末年始に成熟し、高糖度で食味が良く、じょうのう膜が柔らかくて口あたりの 良いマンダリンタイプのカンキツの育成を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 「あまつづみ」は、1987年に種子親「安芸タンゴール」(「興津早生」×「トロビタオレンジ」)に 花粉親「サザンレッド」を交配、育成して、1996年に選抜した個体である。
  2. 育成地(東広島市安芸津町)における満開期は5月第4半旬で、着色は10月中旬から始まり、 11月第2半旬に完全着色となる。成熟期は1月下旬である(データ省略)。
  3. 樹勢は、「宮内伊予柑」(対照品種)と同程度で、枝梢は対照2品種と比べて太く長い。葉の 大きさは、対照2品種と比べて大きく、葉縁には波状がみられる。隔年結果性は低い (表1)。
  4. 果皮は、赤橙色で「天草」(対照品種)に比べてやや紅色が濃い。果皮厚は極めて薄い。剥皮は、 対照2品種に比べてやや容易である(表2)。 香気は、「天草」がクレメンティン香、「宮内伊予柑」がイヨカン香を有するのに対し、 「サザンレッド」に近いオレンジ香を有する(表2)。
  5. 成熟期の果実は、果実重120~240g、果形指数143程度で扁平である。果肉は柔らかく、多汁で、 糖度(°Brix)は12~14、酸度は1.0~1.4wt,%と濃厚な食味を有する。種子は、6個程度入る。 じょうのう膜は、「宮内伊予柑」より柔らかいため、袋ごと食べることができる (表2表3)。
  6. 以上の結果より、「あまつづみ」は、高糖度で果皮の紅色が濃く、オレンジ香を有し、さらに、 じょうのう膜が柔らかくて、口あたりの良い良食味品種で、育成地では1月下旬に成熟期となる カンキツ新品種である。
[成果の活用面・留意点]
  1. かいよう病に弱いため、ネーブルと同程度のかいよう病防除を行う。
  2. 過度の土壌乾燥を受けると、その後の降雨による吸水によって裂果が生じやすい。このため、 無降雨が続く場合は、土壌水分の急激な変化を避けるためにかん水を行う。
  3. 12月に入り、気温が0℃以下となる前に袋掛けを行う。
  4. 広島県の中晩柑主要生産地である尾道市瀬戸田町を中心に普及を図る。
  5. 広島県外への普及は,2012年以降の予定である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 産地活性化を狙った県独自性の高いカンキツ類の新品種育成
予算区分 県単
研究期間 1987~2004年
研究担当者 長谷川美穂子、川﨑陽一郎、古田貴音、中谷宗一、野上暁子、大政英司
発表論文等 品種登録申請2006年4月5日、品種登録出願番号第19613号、品種登録出願公表2006年11月17日

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