[成果情報名]

小麦「ニシノカオリ」の収量・品質高位安定化栽培法

[要約] 小麦「ニシノカオリ」は11月中下旬播、播種量0.4~0.6kg/a、穂肥重点施用とし、3月上旬茎数が不足している場合は穂肥を増施して収量性を向上させるとともに、開花期追肥の施用により子実タンパク質含有率を高める栽培法が適する。
[キーワード] コムギ、ニシノカオリ、パン用、収量、品質、高位安定化
[担当] 山口農総セ・農業技術部・土地利用作物研究室・作物栽培グループ
[連絡先] 電話 083-927-0211
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 パン用小麦「ニシノカオリ」は、学校給食をはじめとする地産地消の取り組みの中で需要は拡大しているが、収量性や子実タンパク質含有率が十分でなく、作付が伸び悩んでいる。このため、収量性を向上させ、適正な子実タンパク質含有率を確保するための栽培法を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 播種期について、11月中下旬播(標準播)で生育・収量が最も安定する。11月上旬播(早播)では4日程度早熟となり、穂数は確保しやすいが倒伏の危険性が高まり、千粒重や1穂粒数の減少により減収する場合が多い。12月上旬播(晩播)では倒伏はほとんど認められず、極端な穂数不足にならなければ千粒重や1穂粒数が高まり増収する傾向にあるが、3日程度晩熟となる(表1)。
  2. 播種量100~200粒/m2の範囲では、播種量増による茎数・穂数の増加は認められず、千粒重や1穂粒数の低下を招きかえって減収する(表1)ため、播種量は100~150粒/m2(0.4~0.6kg/a相当)が適する。
  3. 従来の基肥重点施肥から穂肥重点施肥(基肥N0.4kg/a-分げつ肥N0.2kg/a-穂肥N0.4kg/a)とすることで、倒伏を助長することなく、有効茎歩合、1穂粒数が増加して多収となる。容積重、子実タンパク質含有率、外観品質はほとんど差がない(表1)。
  4. 標準播において倒伏程度の上限を3.0としたときの生育量の上限は、穂数が450~500本/m2程度、3月上旬茎数(最高茎数)が800~850本/m2となる(図1)。早播では3月上旬茎数が標準播より少ない水準(550本/m2程度)でも倒伏の危険性が増す(図1)。
  5. 標準播では、3月上旬の生育量が650本/m2程度より少ない状態であれば、穂肥を0.6kg/aに増施することにより増収する(図1表2)。
  6. 開花期追肥により、子実タンパク質含有率及び千粒重は確実に向上し、窒素0.1㎏/a当たりの子実タンパク質含有率増加量は0.7~0.8%程度である(図2)。
  7. 窒素0.2㎏/aの開花期追肥施用で成熟期は1日程度、0.4㎏/aで1~2日程度遅くなる。子実タンパク質含有率が高まると粒がやや角張り、外観品質が低下する場合もあるが、窒素0.2㎏/a程度であれば検査上ほとんど問題とならない(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 生育、収量、生育指標等については、礫質灰色低地土・砂壌土の山口農総技セ内ほ場(標高33m)におけるドリル播栽培で、踏圧・土入れ等は行わない条件で得られた結果である。
  2. 播種期は11月中下旬を基本とし、作期分散が必要な場合には極力早播きを避け、12月上旬まで播種時期を拡大することが望ましい。
  3. 加工適性を高めるとともにランク区分の基準値を満たすため、地域の土壌条件によるタンパク質含有率増加量等を勘案して、開花期追肥を窒素0.2~0.4kg/a程度施用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 パン用小麦有望品種における収量・品質高位安定化栽培法の確立
予算区分 単県・委託
研究期間 2001~2005年度
研究担当者 木村晃司、中司祐典、前岡庸介

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