[成果情報名]

カキ「太秋」の苗木生育におよぼす栽培的要因

[要約] 排水性の良い土壌で「太秋」を栽培する場合、根圏が発達するまで土壌の保水性を高めるため、適度な灌水、土壌改良を行い、施肥は控えめに行う。また、障害の発生しにくい他品種の苗木を植え、「太秋」を接ぎ木する方法も有効である。
[キーワード] カキ、「太秋」、生育障害、灌水、施肥
[担当] 愛媛果樹試・栽培育種室
[連絡先] 電話 089-977-2100
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 カキ「太秋」は、太果で食味が良いことから愛媛県内でも栽培面積が増加しつつあるが、苗木定植後の生育不良は大きな問題となっている。特に、保水性の低い花崗岩土壌の栽培園地において、新梢の生育障害がみられることが多い。そこで「太秋」の苗木生育に影響する栽培的要因、特に、土壌管理要因を解明すると共に、他品種幼苗への接ぎ木による樹体生育不良回避策について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 幹周肥大、新梢伸長量ともに、灌水量の多い試験区において有意に優れる傾向が認められることから、根域の発達していない苗木養成時には定期的な十分量の灌水(点滴灌水:約4~9mm/日)が必要である(表1)。
  2. 幹周肥大や新梢伸長量が施肥量の多い試験区においてやや劣る傾向であるため、苗木養成時には施肥量を控える(表2)。
  3. 花崗岩土壌区では地上部の乾物重が有意に低く、細根部においても同様の傾向が認められる。同様に排水性の良い洪積層土壌においても他の粘質土壌区と比較して乾物重が低い傾向であることから「太秋」の幼樹の生育には保湿性を高める土壌改良が必要である(表3)。
  4. 他品種の苗木に接ぎ木した「太秋」には樹体生育差がみられ、「富有」、「西条」などの品種で樹体生育がやや優る(表4)。着花量は「刀根早生」、「平核無」、「西条」において雌花の着生量が多い傾向であることから(データ略)、「太秋」の樹体生育には中間台木の影響が大きい。
[成果の活用面・留意点]
  1. 成果1~3はポット試験の結果(60Lポット:土量約50L)であり、栽培環境により障害の発生原因は多様と考えられる。
  2. 「太秋」の苗木定植後に生育不良の傾向が見られる園地では、生育不良とならない品種(その地域においての優良品種。「禅寺丸」、「平核無」、「刀根早生」はやや劣る)の苗木を養成し、その後「太秋」を高接ぎする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 新品種「太秋」の早期安定多収技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2003~2007年度
研究担当者 井門健太、松本秀幸、宮田信輝、矢野 隆
発表論文等 1)宮田ら(2007)園学研、6(2):664、2)井門ら(2007)園学研、6(2):664

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