[成果情報名]

1.5cmに切断した飼料イネWCSを原料とした発酵TMRの泌乳前期の給与効果

[要約] 1.5cmに切断した飼料イネWCSを原料とした発酵TMRは、粗飼料摂取量当りおよび飼料イネ摂取量当りのそしゃく時間が短く、乾物摂取量を増加させる傾向にあり、泌乳前期40kg程度の泌乳牛の乳量、乳成分を維持することが可能な飼料である。
[キーワード] 飼料イネ、切断長、発酵TMR、泌乳前期、そしゃく時間、飼料片粒度
[担当] 広島総技研畜技セ・飼養技術研究部
[連絡先] 電話 0824-74-0331
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料イネホールクロップサイレージ(WCS)は繊維の消化性が悪く、養分要求量の多い高泌乳牛に給与した場合、飼料摂取量が抑制され、泌乳成績が低下することが報告されている。そこで、摂取量を増加させるために、従来のコンバイン型専用収穫機で収穫した場合の切断長(4.5cm)よりも短い切断長(1.5cm)の飼料イネWCSを構成飼料原料とした発酵TMRの給与が、乾物摂取量や泌乳成績に及ぼす影響を検討する。
[成果の内容・特徴]
 
  1. フォーレージハーベスタで収穫時に1.5cmおよび4.5cmに切断後、細断型ロールベーラーにより成形した飼料イネ「クサノホシ」のWCSを構成飼料原料とし、粗飼料乾物混合割合を32.3%(飼料イネWCS20.1%、アルファルファ乾草12.2%)で、発酵TMR(1.5cmTMRおよび4.5cmTMR)を調製する(表1)。これらを、分娩前4週~分娩後14週にわたり各区3頭、計6頭の乳牛に給与し、乾物摂取量、泌乳成績およびそしゃく行動について一元配置法で調査する。
  2. 冬期において、調製後30~60日間貯蔵した発酵TMRの発酵品質は、いずれのTMRもpHが5.0前後、V-Scoreは95点程度である(表1)。
  3. パーティクルセパレーターで調査した1.5cmTMRの飼料片粒度は、4.5cmTMRより、「19mm以上」の割合が減少し、「8~19mm」の割合が増加する(P<0.05)(表1)。
  4. 乾物摂取量および乳量は、分娩後6~7週程度まで1.5cmTMRが多い傾向にある(図1)。
  5. 乳タンパク質率は、1.5cmTMRが分娩後3週に有意に高い(P<0.05)(図2)。
  6. 粗飼料乾物摂取量当りあるいは飼料イネ乾物摂取量当りのそしゃく時間は1.5cmTMRが短い(P<0.05)(表2)。
  7. 飼料イネWCSの混合割合が20%で、切断長を1.5cmとした発酵TMRは、4.5cmのものに比較して、粗飼料乾物摂取量当りあるいは飼料イネ乾物摂取量当りのそしゃく時間を短縮させ、乾物摂取量を増加させる傾向にあり、泌乳前期40kg程度の泌乳牛の乳量、乳成分を維持することが可能な飼料である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 飼料イネWCSをTMR構成飼料原料として用いる場合、粗飼料割合を高くしないこと、NDF含量を32~33%、NFC含量を38~39%程度にする。
  2. 飼料イネWCSの切断長が4.5cmよりも1.5cmの方が、TMR中の飼料片粒度分布の均一性は高い。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中山間水田における飼料用稲を基軸とする耕畜連携システムの確立
予算区分 中山間耕畜連携
研究期間 2006年度
研究担当者 新出昭吾、伊藤健一、大坂隆志、吉村知子

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