[成果情報名]

電気牧柵を使用した放牧のための放牧馴致技術

[要約] 放牧未経験の繁殖牛に電気牧柵の馴致を行う際は、開始後48分以内に2~7回牛が自ら電気牧柵に接触することで電気牧柵を認識した。電気牧柵の認識は、電気牧柵の外から餌で誘導しても電気牧柵に接近しないことで確認する。
[キーワード] 繁殖牛、移動放牧、放牧馴致、電気牧柵
[担当] 山口農林総セ・畜産技術部・放牧環境研究室
[連絡先] 電話 0837-52-0258
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 山口県では、耕作放棄地等での移動放牧面積が年々拡大しており、今後も飼養管理の省力化や耕作放棄地解消策として期待されている。その一方で、県内で飼養されている繁殖牛のほとんどが舎飼いであり、移動放牧をするためには放牧馴致が不可欠である。
 また、移動放牧では簡易な電気牧柵が使用されるが、電気牧柵は電気刺激による心理柵であるため、牛を電気牧柵に馴致させる技術(以下、電牧馴致)が必要である。そこで、放牧馴致時の行動や電気牧柵を認識するまでに係る時間を調査し、効果的な放牧馴致方法を確立する。
[成果の内容・特徴]
 
  1. 馴致場Aの物理柵は、足場鋼管パイプで作製し、面積625m2(一辺25m)、高さ60cm、100cmの2段とした。電牧馴致時のみ、物理柵の内側に電気牧柵を設置した(図1)。
  2. 放牧未経験の繁殖牛2頭を馴致場Aで約1週間、屋外環境に馴れさせた後、物理柵の内側に電気牧柵を設置し、1日間電牧馴致を行った。その後馴致したことを確認するため、電気牧柵のみで囲った馴致場Bで放牧を行った。この馴致方法で、馴致中の脱柵はない(図1)。
  3. 放牧未経験の繁殖牛に電牧馴致を行う際、開始後48分以内に2~7回牛が自ら電気牧柵に接触することで電気牧柵を認識した(表1)。
  4. 牛が電気牧柵に興味を示し、自ら電気牧柵に接触する場合、全て鼻から接触する。電気牧柵に自ら接触しない場合は、電気牧柵の外から餌で誘導することで接触させることができる。牛は、電気牧柵に接触後、電気刺激に驚き後退するが、興奮状態にはならなかった(表1)。
  5. 電気牧柵の認識は、電気牧柵の外から餌で誘導しても、電気牧柵に接近しないことで確認する。
[成果の活用面・留意点]
  1. 電牧馴致は、牛を1時間程度観察し、電気牧柵の外から餌で誘導しても牛が電気牧柵に接近しないことを確認し完了する。
  2. 物理柵の内側に電気牧柵を設置し、電気牧柵への馴致を行うことで、脱柵を防ぐことができる。
  3. 足場鋼管パイプで一辺25mの物理柵を作製する場合の資材費は、約16万円で、設置に要する時間は、5時間/人である。この施設で、年間約10頭(5組)の放牧馴致が可能である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 電気牧柵を使用した放牧のための放牧馴致技術
予算区分 県単
研究期間 2005~2007年度
研究担当者 島田芳子、恵本茂樹、伊藤直弥、米屋宏志

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