[成果情報名]

ワセシロゲ由来のダイズ茎疫病抵抗性遺伝子に連鎖するSSRマーカーの開発とその利用

[要約]

ワセシロゲ由来の茎疫病抵抗性遺伝子を持った黒ダイズ個体を2種類のSSRマーカーによって高精度で選抜でき、その後代系統は茎疫病多発圃場において本病に対して強い抵抗性を示す。

[キーワード]

ダイズ、ダイズ茎疫病、SSRマーカー、ワセシロゲ

[担当]

兵庫農総セ・生物工学部

[連絡先]

電話 0790-47-2413

[区分]

近畿中国四国農業・作物生産

[分類] 研究・普及

[背景・ねらい]

ダイズ茎疫病はPhytophthora sojaeを病原とする土壌伝染性の難防除病害で枯死などの大きな被害をもたらしている。この対策として茎疫病抵抗性品種を早期に育成するため、本病抵抗性遺伝子に密に連鎖したSSRマーカーの開発を行い、抵抗性個体を効率的に選抜することを目指す。

[成果の内容・特徴]

1.兵庫県に分布する茎疫病菌レースA、D、K、L、M及びNに抵抗性を示すワセシロゲと丹波黒(罹病性品種)(表1)を交配して得られるF7世代の組換え自殖系(RILs)(94系統)を供試する。

2.親品種及び各系統のダイズ幼苗葉100mgからCTAB法でDNAを抽出した後、PCR用のテンプレートとして10ng/μLに調整する。

3.供試プライマーはインターネットのWebサイトSoybase (www.soybase.com)に公開されているダイズSSRプライマーの内、マーカー連鎖群N上に座乗するものを用いる。

4.PCR反応条件は94℃で9分間のプレヒート後、94℃・30秒間、47℃・30秒間、67℃・1分間の反応を30回繰り返した後、72℃・10分間反応させる。その後、反応液の一部を3.5%アガロースゲル又は、10%アクリルアミドゲルで電気泳動を行い、染色処理後にUV照射下でDNAバンドパターンを確認する。

5.親品種間で多型を示すマーカーについてMAPMAKER/EXP version 3.0を用いてマーカー間の連鎖解析を行うことにより、全長88.2cMの連鎖地図上に抵抗性遺伝子をマッピングできる(図1)。

6.抵抗性遺伝子の最も近傍にあるマーカーSatt009を用いて選抜した場合、寒天培地接種法でレースAに対して抵抗性と判定される精度は98.9%である(図2)。抵抗性遺伝子を挟む2種類のマーカー{Satt009(0.9cM)とSatt530 (10.3cM)}を組み合わせた場合は理論上の選抜精度は99.8%となる。

7.丹波黒を反復親とする戻し交配集団から上記2種類のマーカーにより選抜した2個体の後代系統を茎疫病菌レースAが高率に分布する圃場で栽培すると強い抵抗性を示す(図3)。

[成果の活用面・留意点]

1.丹波黒以外のダイズ品種にワセシロゲの本病抵抗性遺伝子を導入する場合、交配親との各マーカー(Satt009とSatt530)の多型を確認し、マーカー選抜の適応性を検討する必要がある。

2.本マーカーによって選抜したワセシロゲ由来の抵抗性遺伝子を持った系統はレースAの他、レースD,K,L,Mに対して抵抗性を示す。

[具体的データ]

 

 

[その他]
研究課題名 : ダイズ茎疫病抵抗性遺伝子に連鎖したDNAマーカーと育種素材の開発
予算区分 : 国庫(他作物マーカープロジェクトDD3113)
研究期間 : 2007~2008年度  
研究担当者 : 杉本琢真、吉田晋弥、入江和己
発表論文等 : 杉本ら(2009)日本植物病理学会大会講演予定

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