| [成果情報名] | 水稲育苗箱と底面給水用マットを用いたイチゴ底面給水育苗システム |
| [要約] | 開発した底面給水育苗システムは、水稲育苗箱や底面給水用マット等市販の部材を用いるため、安価で組み立てが容易である。本システムにより、炭疽病の蔓延が抑制され、灌水回数と水深を最適化することで、クラウン径9mm以上の育苗が可能となる。 |
| [キーワード] | イチゴ、底面給水育苗、水稲育苗箱、底面給水用マット、炭疽病 |
| [担当] | 愛媛農水研・栽培開発室 |
| [連絡先] | 電話 089-993-2020 |
| [区分] | 近畿中国四国農業・野菜 |
| [分類] | 技術・普及 |
近年、イチゴの育苗では、省力的な小型成型トレイの利用が進んでいるが、頭上灌水による病原菌の胞子飛散が助長する炭疽病の激発が問題となっている。そこで、炭疽病の蔓延抑制効果が高く、十分なイチゴの生育を確保できる底面給水育苗システムを開発する。
1.開発した底面給水育苗システムは、水稲育苗箱を貯水槽とし、2本の灌水チューブで給水し、貯水槽の短辺から一部を垂らした底面給水用マットの毛細管現象を利用して、貯水槽の水を排出する構造である(図1)。10a分の育苗(約8,000本)を行うための資材費は約45万円で、それ以外に2aの雨よけハウスを必要とする(表1)。
2.底面給水用マットを垂らす長さ(以下、下垂長)は10cmでも、給水終了後1時間以内には排水を完了できる(図2)。このため、根の過湿傷害はみられない。
3.炭疽病接種株を配置して本病の蔓延状況を調査した結果、頭上灌水区では、10日目に隣接株4株で小葉・葉柄の病斑がみられ、感染拡大を確認したが、底面給水区では、周辺株への蔓延はみられない。また、本システムを用いた約8,000株の育苗実績では、2年間炭疽病の発生はなく、現地導入農家5戸でもほとんど発生は認められない。
4.ツイントレイポット(ツイントレイ付属の専用ポット:150cc)を用いて、育苗箱あたり18株とした場合、水深を20mm、1日3~4回の灌水を行うことで、クラウン径は9mm以上となる(表2)。
5.培養土はミックスソイル(伊予木材株式会社:ココピート、バーミキュライト主体)を用い、追肥は底面給水開始1週間後から1月ごとにIB化成S1号を2粒/ポット施用する。この時、培養土への埋め込みは必要なく、表面に置くことで十分な肥効がある。
6.本システムで育苗した「あまおとめ」を9月20日に定植し、5月末までの収量を調査したところ、株あたり1,000g以上となる(データ略)。
1.本システムで育苗すると、根はポットの底面部に多く分布し、上部は少ない傾向があるので、定植後すみやかに活着させるために、2週間程度の手灌水が必要である。
2.セルトレイやポリポットも利用可能である。小型ポットではツイントレイポットやスーパーアイポットを使用し、アイポット、ニラポット、Uポット等の細長形ポットは揚水が十分でなく、生育不良を起こす可能性があるので使用しない。
3.下垂した底面給水用マットに藻類がつくと、排水が悪くなるので、シルバーマルチ等を用いて、マットの下垂部分に太陽光を直接的にあてないようにする。
4.育苗箱あたりの株数を多くすると、徒長により作業性が悪くなるので注意する。
[具体的データ]
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| [その他] | ||
| 研究課題名 | :
環境に優しい農業生産活動推進事業
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| 予算区分 | : 県単 | |
| 研究期間 | : 2007年度 | |
| 研究担当者 | : 安西昭裕、伊藤博章、奈尾雅浩、弓達 隆、石々川英樹 |