[成果情報名]

播種条数や条間を自由に設定できる牽引型の麦・大豆用不耕起播種機の試作

[要約] 不耕起圃場において播種・覆土が行えるトラクター直装式作業機である。1条を播種・覆土するための ユニットは単独で着脱可能なため、条間は20cm以上、条数は2以上で自由に設定でき、品目や栽培条件、 圃場条件に応じた多様な播種様式に対応できる。
[キーワード] 不耕起播種、麦、大豆、牽引型
[担当] 広島総技研・農技セ・生産環境研究部・栽培技術研究部
[連絡先] 電話082-429-2590
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 麦・大豆の不耕起栽培は、計画的な播種作業を可能にするとともに、高地耐力による機械作業性の 向上や地力の減耗抑制などの長所を有することから省力・安定生産技術として普及しつつある。しかし、 既存の不耕起播種機は播種条数や条間があらかじめ固定されているため、栽培品目や栽培条件、圃場条件に 応じて播種様式を柔軟に設定できない。そこで、多様な条件での不耕起栽培を可能とするため、 条間や条数を自由に設定できる牽引型の不耕起播種機を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 1条を播種・覆土するためのユニット(以下、播種ユニットとする)として、進行方向前方から、 種子根の生長を誘導するためのスリットを形成するディスクコルタ、播種溝形成用ダブルディスク、 播種溝の底部土壌に種子を密着させて種子への吸水を円滑に行わせるための種子押し込みディスク、 覆土のための歯車形状のディスクを直線上に配置している。種子繰り出し装置と接地駆動輪は 市販のスライドロール式播種機の部品を利用する。横方向のバーに播種ユニットと種子繰り出し装置、 接地駆動輪を装着した作業機を地表面に降ろして牽引するだけで播種・覆土が行える(図1)。 この播種ユニットは単独で着脱可能であり、条間は20cm以上、条数は2以上で自由に設定できる。
  2. 後方に延伸させたアームの端に取り付けたウエイトによる力を、播種ユニットを横方向に連結 させたバーに作用させて行う(図1)。ディスクコルタは1条ごとにバネで上下方向に自由に動く 独立懸架のため、圃場の凹凸に対応できる。
  3. 播種溝形成用ダブルディスクの上げ下げによって、播種深度を簡単に調整できる。
  4. 30cm条間の6条仕様の場合、全長が900mm、質量が364kg(表1)と代表的な市販の不耕起播種機 (全長1700~1855mm、質量380~650kg)に比べて全長が短く軽量なため、低出力のトラクターでの 作業が可能であり、枕地の播種作業量も少なくて済む。
  5. 17kwのトラクターを使用し、30cm条間、6条で播種した場合の作業能率は、1時間当たり約37aである。
  6. 現地実用規模圃場で試作機を用いた栽培試験の結果、苗立率は小麦・大豆とも70%以上で、 坪刈り収量は小麦600kg/10a、大豆320~400kg/10aと安定して高い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 市販化に向けては、さらなる軽量化や耐久性の向上、取り扱いの簡易化などの改良を進める 必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 水田の畑地化と長期不耕起輪作による麦・大豆の高位安定生産技術体系の開発
予算区分 県単
研究期間 2005~2009年度
研究担当者 保科 亨、浦野光一郎、上藤満宏、北野剛志、筒本隆博(広島総研・西工技セ)、本多正英 (広島総研・西工技セ)、山本 晃(広島総研・西工技セ)、川瀬裕三((株)川瀬工具店)、 瀬尾尚昭((株)川瀬工具店)
発表論文等 特願2009-271624「不耕起播種機」

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