[成果情報名]

多収で稲発酵粗飼料向きの飼料用水稲新品種「兵庫牛若丸」

[要約] 「兵庫牛若丸」は兵庫県での出穂期が中生の晩の粳種である。地上部収量が多く、可消化養分総量が 高いため、飼料用としての適性が高い。また、子実の収量性も高く、飼料米やバイオマスエネルギー源と しても期待される。
[キーワード] 飼料稲、兵庫牛若丸、多収、バイオマスエネルギー
[担当] 兵庫農総セ・農技セ・農産園芸部
[連絡先] 電話0790-47-2410
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料稲の栽培は、飼料自給率の向上と水田の有効利用とともに、稲の栽培技術や機械をそのまま 利用できる観点からみて重要である。飼料稲の用途としては、飼料米や稲発酵粗飼料 (ホールクロップサイレージ:WCS)があげられるが、これに適した、多収で、可消化養分総量が高く、 高度の耐倒伏性や耐病性を備えた飼料稲品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「兵庫牛若丸」は多収、強稈、高度耐病虫性を目標に、トビイロウンカ抵抗性遺伝子bph2をもつ 「水稲中間母本農4号」を母本に、強度いもち病抵抗性をもち、強稈、多収の中国広東省育成 インディカ品種「特青」を父本として、交配した後代から育成された飼料用品種である。
  2. 出穂期、成熟期は「金南風」よりやや遅く、兵庫県では“中生の晩”に属する。稈長は「金南風」 よりやや長く、穂長は長く、穂数は少なく、草型は偏穂重型である。脱粒性は易で、 耐倒伏性は極強である(表1)。
  3. 圃場でいもち病の発生はほとんど認められない。いもち病真性抵抗性をもっているが 抵抗性遺伝子は不明である。縞葉枯病には抵抗性である(縞葉枯病のデータは省略)。
  4. 玄米は長形の中~小粒、光沢は不良で、大きな腹白が発生し、見かけの品質はごく不良である。 このことから、一般食用米とは明らかな識別性がある。
  5. 粗玄米重で18%、精玄米重で23%、それぞれ「金南風」より多い(表1)。
  6. 湛水直播栽培での地上部乾物重は、「ホシアオバ」より多く、可消化養分総量 (total digestible nutrients:TDN)の含有率はほぼ同等であるため、 TDN収量が多い(表2)。
  7. 現地実証ほの結果では、2カ年とも粗玄米重が80.0kg/aを超えて、安定して多収である。 WCS用としても、2カ年ともわら重が90 kg/a以上と多収である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 稲発酵粗飼料用、飼料米用として、また、その多収性からバイオマスエネルギー源として利用が期待できる。
  2. 脱粒による子実収量の低下を避けるために、発芽能力の低い糊熟期の収穫がよい。 しかし、黄熟期に比較して収量が低下するので、窒素成分1.5kg/a程度の多肥栽培により、 地上部収量増加を図る。
  3. 除草剤成分であるベンゾビシクロンに感受性が高いので、その成分を含まない除草剤を使用する。
  4. 脱粒しやすいので、栽培した圃場では翌年は食用米品種を栽培しない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中国広東省との共同研究による安心・安全な米づくりのための病害虫抵抗性品種の育成
予算区分 県単
研究期間 1998~2009年度
研究担当者 松本純一、澤田富雄、田中萬紀穂、三好昭宏、岩井正志
発表論文等 松本ら(2008)兵庫農技総セ研報、56:24-29
品種登録2009 年3 月19 日、登録番号:第18113 号

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