[成果情報名]

不耕起大豆跡の小麦作期前進化を可能とする大豆立毛中小麦散播栽培技術

[要約] 不耕起大豆の黄葉始期から黄葉期に小麦を1.5~2.0kg/a播種し、穂肥を増施することによって、 成熟期が遅延することなく、慣行の適期播種した耕起ドリル播栽培並みの収量と品質を確保できる。
[キーワード] コムギ、ダイズ、不耕起、散播、収量
[担当] 広島総技研・農技セ・生産環境研究部
[連絡先] 電話082-429-0521
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 広島県における麦の栽培は主に中山間地域で行われているが、大豆の収穫時期が麦の播種適期より 遅く麦の生産が安定しないため、大豆跡の麦栽培は行われていない。一方、食料自給率を向上するために 水田のフル活用が推進されており、麦・大豆においても輪作がその手段として有効である。そこで、本県で 導入が進みつつある不耕起大豆跡において、小麦作期の前進化が可能となる大豆立毛中小麦散播栽培技術を 確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 不耕起大豆立毛中の小麦散播栽培において、小麦「キヌヒメ」の苗立数と収量が多く確保できる 播種時期は、大豆の黄葉始期から黄葉期である(図1)。
  2. 小麦の播種量が1.0~2.0kg/aでは、播種量が多いほど苗立数を多く確保でき、収量も多い傾向が 認められる(図2)。苗立数が85~96本/㎡と少ない場合は、3月上旬の穂肥窒素0.4kg/a程度の 増施によって適期播種した慣行のドリル播き栽培並みの収量が得られる(図3)。 しかし、播種後の降水量が平年より少ないと播種量1.0kg/aでは苗立数が約60本/㎡以下となる 場合があるため(図4)、播種量は1.5~2.0kg/aが望ましい。
  3. 成熟期は適期播種した慣行の耕起ドリル播栽培とほぼ同時期で、検査等級は慣行並みに ほぼ1等で良好である(データ省略)。
  4. 現地試験(2008年播種、安芸高田市、標高210m)では、大豆「サチユタカ」の黄葉期 10月17日に小麦「キヌヒメ」1.5kg/aを動力散布機で播種することで、収量52.7kg/a、 検査等級1等を得ている。
[成果の活用面・留意点]
  1. 小麦は、凍上害に強く、早播きが可能で播種適期幅の長い品種が適する。
  2. 播種時に土壌の乾燥が激しいときは、播種量を増やすとともに苗立数を確保するため播種前に 走り水を行うとよい。
  3. 雑草防除は、土壌処理剤が使用できないので、大豆収穫後に茎葉処理剤で行う。
  4. 大豆の収穫は、土壌水分が高いとコンバインによる小麦の損傷が大きいので、土壌が乾燥したときに行う。
  5. 大豆は、中生品種を用いるとともに、黄葉期が小麦の播種適期になるように標高に応じて 播種時期を設定する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 水田の畑地化と長期不耕起輪作による麦・大豆の高位安定生産技術体系の開発
予算区分 県単
研究期間 2005~2009年度
研究担当者 浦野光一郎、竹中賢司、金本健志

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