[成果情報名]

兵庫県の丹波黒栽培地域におけるダイズ茎疫病菌のレース分布の把握と育種母本の選抜

[要約] 兵庫県の丹波黒栽培地域におけるダイズ茎疫病菌の主要レースはEであり、次いでレースAが 多く存在する。ダイズ品種「PI103091」、「L93-3312」、「ゲデンシラズ1号」、「黄宝珠」は 主要レースE及びAに対して強い抵抗性を示し、育種母本として選抜する。
[キーワード] ダイズ、ダイズ茎疫病、ダイズ茎疫病菌、抵抗性、レース
[担当] 兵庫農総セ・農産園芸部
[連絡先] 電話0790-47-2414
[区分] 近畿中国四国農業・作物生産
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 ダイズ茎疫病はPhytophthora sojaeを病原とする土壌伝染性の難防除病害で感染株は 完全に枯死するため、全国各地のダイズ栽培圃場で問題となっている。本病は兵庫県の丹波黒栽培地域に おいても近年増加傾向であり、省力で安定した防除対策が求められている。そこで兵庫県に存在する 茎疫病菌のレース分布を把握し、抵抗性品種育成のための育種母本を選定する。
[成果の内容・特徴]
  1. 2002~2008年に兵庫県の主要な丹波黒栽培地域7箇所から杉本らの方法(2006)により 茎疫病菌164菌株を分離する。
  2. 接種は寒天培地接種法(杉本ら(兵庫農総セ),平成17年度成果情報素材)を用い、レースの 判定は土屋ら(1990)の基準(表1)に基づいて分類すると164菌株は レースE/67.1%、A/18.3%、C/0.6%、D/0.6%、G/0.6%及びこれまで報告されていない レースK/2.4%、L/5.5%、M/3.0%、N/1.2%、O/0.6%の合計10種類のレースに該当する。
  3. 兵庫県の丹波黒栽培地域における主要レースはいずれの年もEである(表2)。
  4. 国産ダイズ10品種、茎疫病真性抵抗性遺伝子を保有するUSDA (United States Department of Agriculture, アメリカ農務省)保存ダイズ18品種及び多くの 茎疫病に対して罹病性反応を示すことが分かっているUSDA保存ダイズ3品種と丹波黒を用いて 接種を行うと、真性抵抗性遺伝子Rps1dを保有する「L93-3312」及び「PI103091」、 「ゲデンシラズ1号」及び「黄宝珠」は兵庫県の主要レースE及びAに対して強い抵抗性を示し、 育種素材として選抜できる(表3)。
  5. 「L93-3312 (Rps1d)」、「PI103091(Rps1d)」及び「ゲデンシラズ1号」は兵庫県に存在する 10レース(164菌株)に対して強い抵抗性を示す。黄宝珠はレースKを除く9レース (161菌株)に抵抗性を示す。
[成果の活用面・留意点]
  1. レース判別品種は国産ダイズ6品種「イスズ」、「中生光黒」、「キタムスメ」、「トヨスズ」、 「ゲデンシラズ1号」、「黄宝珠」を用いる(表1)。
  2. 選抜した育種母本の他府県における適応性については、各栽培地域のレース分布を 把握した後に再確認を行う。
  3. 国産の主要黄ダイズ品種「エンレイ」、「サチユタカ」、「フクユタカ」は兵庫県の 主要レースE及びAに対して抵抗性を示さない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ダイズ茎疫病抵抗性遺伝子に連鎖したDNAマーカーと育種素材の開発
予算区分 県単及び国庫(新農業展開ゲノム)
研究期間 2007~2009年度
研究担当者 杉本琢真、吉田晋弥、相野公孝、神頭武嗣、前川和正、入江和己

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